―文献名―
S.Fukui, et.al.Late referrals to home palliative care service affecting death at home in advanced cancer patients in Japan: a nationwide survey.Annals of Oncology 2011;22:2113-2120.
―要約―
【背景】
多くの患者が在宅での死を希望しながら希望した場で死を迎えられていない。
【目的】
病院から在宅への紹介のタイミングに焦点を当て、在宅緩和ケアを受ける患者の死亡場所に影響を与える要素を明らかにする。
【方法】
日本全国の在宅ケア施設から無作為に選ばれた1000施設(訪問看護)に直近の在宅緩和ケア患者1名について回答を依頼する質問紙を用いた横断研究。合計568(名の患者について)の回答が解析された(有効回答率は69。1%)。
【結果】
多変量ロジスティック回帰分析により以下が在宅緩和ケアの死亡場所に影響を与えることが明らかになった(Table3 表示)。
(1) 患者特性
家族介護・看護者が在宅ケアを希望していること、家族介護・看護者が娘か義理の娘であること、紹介時の身体機能が完全に寝たきりであること
(2) 病院における退院前のサポート
早期の紹介(退院前8日以上)、病院のスタッフによる退院し在宅で生活し亡くなることに関する明解な説明
(3) 在宅ケアへ移行後のサポート
在宅緩和ケアチームに含まれる医師が(病院医ではなく)家庭医であること、医師や看護師が患者に対して24時間の支援を保証する契約を結ぶこと、退院後最初の1週間、訪問看護師が3回以上医師と訪問すること
【結論】
病院側のスタッフによる早期かつ丁寧にコーディネートされた円滑に機能する退院支援システムと在宅ケアチームによる退院直後の質の高い支援は患者の在宅死を増やす可能性がある。
【開催日】
2014年11月5日(水)