【文献】
特集 その患者指導、大丈夫?.日経メディカル4月号:p84,2010
【要約】
夜間頻尿が主訴の患者の中に、1日2L以上の水分を摂取している人が少なくない。
「脳梗塞や心筋梗塞予防に水分をいっぱい取るように」と医師からアドバイスされている。
しかし、
(1) 大量に水分を摂取しても、脳梗塞や心筋梗塞予防になるというエビデンスはない(文献1)。
高齢者において、脱水予防のために十分な水分摂取が必要なのは、介護を必要とする人や認知症などで喉の渇きが自覚できないような、脱水のリスクの高い人が対象。
(2) 夜間排尿の回数が多いほど転倒の危険性が高いことや、死亡率が高くなることが報告されている(文献2,3)。
高齢者は膀胱に尿をためられる量が減るため、夜間1回トイレに起きる程度は仕方がないが、2回以上起きるケースは明らかに水分の取りすぎで、いいことはない。
適切な水分摂取量は、まず、1日の尿量を計測してもらい、尿量の合計が「体重(kg)×20~30mL」程度になるように水分摂取量を調節するとよい。
文献1)
水分を多く摂取することで,脳梗塞や心筋梗塞を予防できるか? システマティックレビュー.岡村菊夫ら,日本老年医学会雑誌(0300-9173)42巻5号 Page557-563(2005.09).
文献2)
Usefulness of nocturia as a mortality risk factor for coronary heart disease among persons born in 1920 or 1921. Bursztyn M, Jacob J, Stessman J, Am J Cardiol. 2006 Nov 15;98(10):1311-5. Epub 2006 Sep 26.
文献3)
Mortality in the elderly in relation to nocturnal micturition. Asplund, R, BJU international 84, 297-301, 1999.
【開催日】
2010年5月12日(水)