【文献】
S.-J. Park and others: Duration of Dual Antiplatelet Therapy after Implantation of Drug-Eluting Stents. N Engl J Med 2010; 362:1374-82.
【要約】
<背景>
薬剤溶出性ステントを留置した患者に対して、抗血小板2剤併用療法を12か月を越えて行った場合の潜在的な利益とリスクは明らかでない。
<方法>
Patient: 薬剤溶出性ステントを留置した虚血性心疾患の既往のある患者。
Exposure: アスピリンに加えてクロピドグレルを併用投与する群。
Comparison: アスピリンを単独投与する群。
Outcome: 心筋梗塞または心臓が原因の死亡に差があるか?
この研究はREAL-LATEとZEST-LATEというランダム多施設の二つの試験にエントリーされた患者を融合したもの。治療に関してはオープンラベ ルだが、データ集積と解析はブラインド化している。ITT解析にて、2剤併用群で99.4%、アスピリン単独群で99.3%がフォローされている。
<結果>
追跡期間の中央値19.2カ月。2年後の主要転帰の累積リスクは2剤併用群で1.8%、アスピリン単独群で1.2%だった。(ハザード比1.65、95%CI0.80-3.36、P0.17)
心筋梗塞、脳卒中、ステント血栓症、結構再建術の再施行の必要性、重大な出血、全死因死亡の各リスクには両群間で有意差は認められなかった。
しかし2剤併用群ではアスピリン投与群と比べ心筋梗塞・脳卒中・全死因死亡の複合リスク(ハザード比1.73、95%CI0.99-3.00、 P0.051)と、心筋梗塞・脳卒中・心臓が原因の死亡の複合リスク(ハザード比1.84、95%CI0.99-3.45、P=0.006)について、有 意でないものの上昇がみられた。
<結論>
薬剤性ステントを留置した患者に抗血小板2剤併用療法を12か月を超えて行っても、アスピリン単独療法を行った場合と比べて、心筋梗塞・心臓が原因の死亡の発生率の低下に有意な有効性は認められなかった。
これらの結果については、より長期の追跡を行う大規模な無作為化試験にて、確認あるいは反証する必要がある。
【開催日】
2010年5月19日