【文献名】
A Clinical Index to Define Risk of Asthma in Young Children with Recurrent Wheezing, Am J Respir Crit Care Med Vol 162. pp 1403-1406, 2000.
【要約】
方法
1246名の幼児とその家族を対象としたThe Tuscon Children’s Respiratory Studyと呼ばれる長期の前向き研究におけるデータを利用した。
親の喘息の既往及び2、3、6、8、11、13歳それぞれの時点での子供の呼吸および健康状態を親に質問紙で確認している。
2、 3歳の時点での喘鳴の有無とその程度(とても稀~ほぼ毎日までの5段階)で確認し、いずれかの時点で喘鳴が聞かれたら”early wheezer”とし、程度のスケール3以上で喘鳴があれば”early frequent wheezer”とした。また、6、8、11、13歳の時点で、医師によって一度でも喘息と診断されたかあるいは診断されなくても3回以上の喘鳴があれば “active asthma”とした。
Majorクライテリア:
1.医師により診断された両親いずれかの喘息の病歴
2.医師により(2、3歳の時点で)診断されたアトピー性皮膚炎
Minorクライテリア:
1.医師により(2、3歳時点で)診断されたアレルギー性鼻炎
2.(2、3歳の時点での)上気道感染と関係しない喘鳴
3.(平均10カ月の時点での)4%以上の好酸球増多 (以上Table1)
厳密なAPIとしてはearly frequent wheezerであって、Majorクライテリアの1/2を満たすか、Minorクライテリアの2/3を満たす場合を陽性とした。
緩いAPIとしてはearly wheezerであって、同様にMajor1/2、Minor2/3を満たすものを陽性とした。
結果
緩いAPI陽性の場合は、陰性の場合にくらべて6、8、11、13歳の時点で2.6-5.5倍active asthmaになりやすく、厳密なAPI陽性の場合は、陰性の場合に比べて同様に4.3-9.8倍active asthmaになりやすい(Table5)。
厳 密な基準では特異度(=active asthmaを呈さない就学児がAPI陰性である割合)は6、8、11、13歳どの時点でも96%以上と高く、6、8、11、13歳のうち少なくともどれ か一つの時点でactive asthmaとなる陽性的中率(=API陽性の幼児が就学期にactive asthmaを持つ割合)は76%である(Table6)。
陰性的中率(=API陰性の幼児が就学時にactive asthmaを持たない割合)についても厳密な基準あるいは緩い基準ともに84%以上と高い。
【開催日】
2010年7月7日