【文献】
Rait G et al. Survival of people with clinical diagnosis of dementia in primary care: Cohort study. BMJ 2010 Aug 5; 341:c3584.
【要約】
《目的》
プライマリ・ケアの場で、認知症と診断された後の生存期間を概算する。また、認知症の発症数を確定する。
《デザイン》
プライマリ・ケアのデータベースからの情報を用いたコホート研究
《セッティング》
353のGP施設
《対象者》
患者は1990-2007に認知症と新たに診断された60歳以上の成人22529人。対照はランダムに選ばれた認知症のない112645人(患者群の5倍)。
《主要アウトカム》
生存期間の中央値, 認知症の発症数
《結果》
認 知症と診断された患者さんの生存期間の中央値は60-69歳で6.7(3.1-10.8)だが90歳以上で1.9(0.7-3.6)と低下。調整死亡率は 診断後1年目でもっとも高かった(relative risk 3.68)。これは2年目に2.49まで低下した。認知症の発生数は、3-4/1000人年と安定していた。発生率は女性や若年(60-79歳)群でより 高かった。
《結論》
生存期間の中央値は、スクリーニングされた場合より短い(構造化された認知症スクリーニングツールを使って行った地域 住民に基づいた研究では、認知症発症後の生存期間の中央値は、65~69歳の対象者で10.7年、90歳以上の対象者で3.8年であった。)。この臨床的 に有用な結果は、患者・介護者・医療者・政策者を助けとなりうる。診断後1年目がもっとも死亡リスクが高いことは、診断が危機の時期や疾患経過の遅い時期 になされることを反映しているかもしれない。プライマリ・ケアにおいて認知症の診断が遅れることは、早期介入の機会を逸することになるかもしれない。
【開催日】
2010年9月29日