【文献】
Barbara J. Stephenson et al.: Effect of palliative oxygen versus room air in relief of breathlessness in patients with refractory dyspnea: a double-blind, randomized controlled trial, Lancet, vol.376 September 4, 2010
【要約】
《背景》
緩和的な酸素療法は死期のせまっている疾患で不応性の呼吸苦の患者に良く投与されている。しかし、緩和的酸素吸入が室内空気吸入に比べて効果があるかどうかについて調べた。
《論文のPICO》
P:オーストラリア、米国、英国の9つの呼吸器、緩和ケア、オンコロジーおよびプライマリ・ケア外来クリニックで7.3kPa(54.7mmHg)以上の動脈酸素分圧で予後不良、不応性の呼吸困難を呈する患者
I:経鼻カニューレにより1日15時間以上、7日間、2L/分の酸素投与を行う。
C:経鼻カニューレにて同様の条件で室内空気投与を行う
O:起床後30分以内と就寝時の2回、その時点での呼吸困難の状態をNRS(数値的評価スケール)にて0(全く息切れを感じない)~10(想像される最高に苦しい状態)の変化で評価
《結果》
【背景】
緩和的な酸素療法は死期のせまっている疾患で不応性の呼吸苦の患者に良く投与されている。しかし、緩和的酸素吸入が室内空気吸入に比べて効果があるかどうかについて調べた。
【論文のPE(I)CO】
P:オーストラリア、米国、英国の9つの呼吸器、緩和ケア、オンコロジーおよびプライマリ・ケア外来クリニックで7.3kPa(54.7mmHg)以上の動脈酸素分圧で予後不良、不応性の呼吸困難を呈する患者
I:経鼻カニューレにより1日15時間以上、7日間、2L/分の酸素投与を行う。
C:経鼻カニューレにて同様の条件で室内空気投与を行う
O:起床後30分以内と就寝時の2回、その時点での呼吸困難の状態をNRS(数値的評価スケール)にて0(全く息切れを感じない)~10(想像される最高に苦しい状態)の変化で評価した。
【結果】
239名が登録、酸素群120名、室内空気119名に割りつけられた。
内訳は男性7割、平均年齢73-4歳、平均の動脈酸素濃度10kPa(75mmHg )であった。
酸素群の93%(112人)、室内空気群の83%(99人)が7日間の評価を修了した。
介入後(6日後)のNRSのベースラインからの変化は
朝
酸素投与群 -0.9(95%CI-1.3 to-0.5) (ベースラインのNRS 4.5)
室内気投与群 -0.7(95%CI-1.2 to-0.2) (同 4.5)
P=0.504
夕
酸素投与群 -0.3(95%CI-0.7 to 0.1) (同 4.7)
室内機投与群 -0.5(-0.9to-0.1) (同 4.7)
P=0.554
副作用は両者で差は見られなかった。
《結論》
経鼻カニューレ投与下では、酸素投与であろうと室内空気投与であろうとNRSでの呼吸困難感の改善に有意な差はみられなかった。
【開催日】
2010年10月6日