―文献名―
Dong Wook Shin, et al. Impact of continuity of care on mortality and health care costs; a nationwide cohort study in Korea. Annals of family medicine. 2014, vol. 12, no. 6, p. 534-541.
―要約―
【目的】
ケアの継続性は、質の高いプライマリ・ケアの中核要素と考えられているが、死亡率と医療費に及ぼす影響についてはまだ明らかになっていない。そこで、新たに心血管リスクとなる疾患と診断された患者の死亡率、医療費、健康アウトカムに対するケアの継続性の影響を調べることを目的とした。
【方法】
韓国の国民健康保険加入者のうち3%を無作為に抽出し、コホート研究を行った。 2003~2004年に高血圧、糖尿病、高コレステロール血症あるいはその合併症と新たに診断された、合計47,433人の患者がエントリーされた。ケアの継続性の指標としてmost frequent provider continuity(MFPC)、modified, modified continuity index(MMCI)、continuity of care index(COC)を設定し、これらの指標と5年以上のフォローアップで起こったアウトカムとの関連を評価した。アウトカムの評価には全死亡率、心血管死亡率、心血管イベントおよび医療費が含まれた。
【結果】
COCの中央値以下の群と中央値以上の群に分けて比較したところ、多変量調整済ハザード比は、全死亡率1.12(95%Cl, 1.04-1.21)、心血管死亡率1.30(1.13-1.50)、心筋梗塞の発症1.57(1.28-1.95)、脳梗塞の発症1.33(1.27-1.63)であった。他の継続性の指標からも同様の結果が得られた。ケアの継続性の低さは入院患者と外来患者の入院・通院期間と医療費の増加とも関連していた。
【結論】
新たに高血圧、糖尿病、高コレステロール血症と診断された患者において、ケアの継続性の低さは、全死亡率、心血管死亡率、心血管イベントおよび医療費の高さと関連していた。そのため長期にわたる患者-医師間の信頼関係をサポートするように医療制度をデザインしていく必要がある。
Appendix1. Continuity of care indices
ex) patient 1 visited 3 providers (ABAACAAA), patient 2 visited 4 providers (ABCBADEA)
1) most frequent provider continuity(MFPC):もっとも受診頻度の高い医師への受診密度
ex) patient 1: 6/8, patient 2: 3/8
2) modified, modified continuity index(MMCI):医師のバラつき具合
ex) patient 1: (1-3/8.1)/(1-1/8.1), patient 2 (1-5/8.1)/(1-1/8.1)
3) continuity of care index(COC):それぞれの医師への受診頻度と医師のバラつき具合を併せたもの
ex) patient 1: [(62+12+12)-8]/[8*(8-1)], patient 2: [(32+22+12+12+12)-8]/[8*(8-1)]
【開催日】
2014年12月10日(水)