【文献名】
Givens JL, Jones RN, et al. Survival and Comfort After Treatment of Pneumonia in Advanced Dementia. Arch Intern Med 170 (13), 1107-9.
【要約】
[目的]
重度認知症や老年期の患者において、肺炎の抗菌薬治療が「生命予後」や「生活の快適さ・安楽さ」を改善しうるかどうか明らかにする。
[研究デザイン]
前向きコホート研究(CASCADE)
(最大で18か月又は亡くなるまで追った。)
[セッティング]
2003~2009年のボストン、マサチューセッツの22ナーシングホーム入居者323人
[対象集団]
重度認知症の入居者で肺炎と確定診断された患者 Table1参照。
※これはCASCADEのベースラインと似通っている★代表的な集団が選ばれているか?
・60歳以上
・いずれのtypeの認知症と診断された
・Cognitive Performance Score 5^6点(重度の認知能低下)
・Global Deterioration Scale 7点(家族がわからない、最低限の会話、ADL全介助、便尿失禁)
[介入/要因]
抗菌薬治療を、しない群・経口治療のみ・筋注治療のみ・点滴治療(入院も含む)で分類。
[主要アウトカム]
生命予後:肺炎発症後~亡くなるまでの日数
快適さ(scored according to the Symptom Management at End-of-Life in Dementia scale:SM-EOLD)
測定前90日間の痛み・呼吸苦・抑うつ・恐れ・心配・いらいら・落ち着き・皮膚の損傷・介護への抵抗の項目に対して頻度(なし、月1回、月数回、週1回、週数回、毎日)を介護士?nursing caringが記載。点数が高いほど、快適度が高いスコア。
※90以内に亡くなった方は除外されるが、Comfort Assessment in Dying with Dementia scaleが死亡後2週間以内に測定された。
[統計手法]
生命予後:コックス比例ハザードモデル
快適さ:線形回帰モデル
多変数モデルを各治療群の差を調整するのに使用
[結果]
225の肺炎のエピソード(133人41%)があり、治療なし8.9%、経口治療のみ55.1%、筋注治療のみ15.6%、点滴・入院治療20.4%であった。
生命予後Table3/Figureは、治療しない人と比べて、すべての治療あり群は改善(経口群リスク比0.2 95%CI 0.10‐0.37)(筋注群リスク比0.26 95%CI 0.12‐0.57)(点滴・入院群リスク比0.2 95%CI 0.09‐0.42)であった。
快適さはTable4、治療前のSM-EOLDと比べ、いずれの抗菌薬治療をえた群でもscored according to the Symptom Management at End-of-Life in Dementia scaleは低かった。
[結論]
ナーシングホーム入居中の重度認知症の方において、肺炎の抗菌薬治療は、生命予後は改善するが、快適さは改善しない。
【開催日】
2011年1月12日(水)