【文献名】
Moubarak G, Guiot A, Benhamou Y, et al. Facebook activitiy of residents and fellows and its impact on the doctor-patients relationship. J Med Ethics 2011;37: 101-104
【要約】
<目的>
FacebookがSNSとして人気を博している。研修医とフェローのFacebookの活動と、医師患者関係におけるFacebookのインパクトに関する意見について記述することを目的とする。
<方法>
2009年10月にフランスのルーアン大学病院の405名のレジデントとフェローに匿名の質問票をメールで送った。
<結果>
202名(50%)の参加者から返答が得られた。147名(73%)がFacebookのProfileを持っていた。その解答者の中で138人(99%)がプロフィールに実名を表示しており、136人(97%)が誕生日を表示、128名(91%)が個人的な写真を表示、83名(59%)が現在の大学、76名(55%)が現在の立場を表示していた。プライバシーの初期設定を61%のユーザーが変更しており、登録して1年以上している人が優位に多く(P=0.02)変更していた。もし患者が友達のリクエストをしたとしたら、152名(85%)の参加者が自動的にリクエストを拒絶するつもりであり、26名(15%)が個々人の基準によって決めるつもりで、自動的にリクエストを受け入れるつもりの人は一人もいなかった。医師がFacebookアカウントを持っていることを患者が発見したら、88名(48%)が医師患者関係が変わり得ると信じている。しかし139名(76%)が医師のProfileにオープンアクセスがある場合にのみ、その内容とは独立してその関係が変化しうると考えている。
<結論>
研修医とフェローはFacebookを使用しており、個人情報を自分のProfileに表示している。不十分なプライバシーの保護が医師患者関係に影響を与えるかもしれない。
【考察とディスカッション】
上記以外にもBMAの指針のKey pointとして
・保守的なプライバシーのセッティングを適応するよう考えるべき。web上では全ての情報が守られているわけではない。
・患者を守るための倫理的、法律的な義務が、その他のメディアと同様に適応される
・公開されたネット討論会の場で患者や同僚に対しての非公式の、個人的な、侮蔑的なコメントを投稿するのは不適切である
・ネットへ投稿する医師や医学生は、インターネットでの論争に対する立場表明をする倫理的な責任を負う
・個人あるいは専門科の能力でなされたweb上のコメントに対して名誉棄損の法律が適応される
といった項目が挙げられていた。
医師患者関係を考えた時には、患者からも見られているかもしれないという意識をもって、FacebookのProfileの設定について慎重な吟味が必要と思われた。
上記のような指針は今後日本でも出てくるかもしれず、確かに慎重になる必要を感じる。しかしその一方で家庭医仲間によるFacebook上の議論から得られる利点も日々感じている。(この論文自体もFacebookで知った。)
逆にFacebookを利用しての、良好な医師患者関係を促進できるアイデア・取り組みをされている方がいれば、是非具体的な方法を聞いてみたいと思った。
【開催日】
2011年7月19日