【文献名】
ナーシングホーム入居者における肺炎予防と生存率に対する23価肺炎球菌ワクチンの効果
【この文献を選んだ背景】
以前肺炎球菌ワクチンについて勉強した際その効果については限定的であり、肺炎予防の効果を期待した患者に積極的に勧めるにはやや不十分な効果であったように思う。施設入所患者や在宅患者に肺炎球菌ワクチンをどの程度勧めるかについて悩んでいたところBMJに肺炎球菌のRCTが発表されていたので読んでみた。
-要約-
【目的】肺炎球菌性肺炎の高リスク群で23価肺炎球菌ワクチンの効果を判定すること
【研究デザイン】前向き、無作為化、二重盲検プラセボ対照研究
【セッティング】日本のナーシングホーム
【参加者】1006人のナーシングホーム入居者
【介入】
参加者は23価肺炎球菌ワクチン(n=502)とプラセボ(n=504)のいずれかに無作為に割り付けられた。
【主要測定値】
プライマリーエンドポイント:あらゆる原因の肺炎と肺炎球菌性肺炎の発生率
2次エンドポイント:あらゆる原因の肺炎、肺炎球菌性肺炎、他の原因からの死亡数
【結果】
ワクチン群の63人(12.5%)に肺炎が生じ、プラセボ群の104人(20.6 %)に肺炎が生じた。
肺炎球菌肺炎と診断されたのはワクチン群では14人(2.8%)、プラセボ群では37人(7.8%)
であった。(P<0.001)
あらゆる原因の肺炎と肺炎球菌性肺炎の発症数はワクチン群よりプラセボ群のほうが著しく多かっ
た:発症率55/1000人年VS 91/1000人年(P<0.0006)と12/1000人年VS 32/1000人年(P<0.001)。
肺炎球菌性肺炎による死亡数はワクチン群よりプラセボ群で著しく多かった。
〔35.1%(13/37)VS 0%(0/14),P<0.01〕
あらゆる原因の肺炎からの死亡率〔ワクチン群20.6%(13/63)VSプラセボ群 25.6%(104/26),P=0.5〕と他の原因からの死亡率〔ワクチン群17.7%(89/502)VS プラセボ群15.9%(80/504),P=0.4〕は2つの群で差がなかった。
【結論】
23価肺炎球菌ワクチンはナーシングホーム居住者の肺炎球菌性肺炎を予防し肺炎球菌性肺炎からの死亡率を減少させた。
【開催日】
2012年10月31日