-文献名-
W.G.Herrington.et al. Long-Term Effects of Empagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease. The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE. Oct 25, 2024
-要約-
●Abstract
【Background】
EMPA-KIDNEY試験において、ナトリウムグルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬であるエンパグリフロジンは、病勢進行リスクのある慢性腎臓病患者において心腎系に良好な効果を示した。試験後の追跡調査は、試験薬中止後にエンパグリフロジンの効果がどのように進展するかを評価するために計画された。
【Methods】
本試験では、慢性腎臓病患者をエンパグリフロジン(10mg、1日1回投与)またはプラセボのいずれかに無作為に割り付け、中央値で2年間追跡した。全患者は、推定糸球体濾過量(eGFR)が体表面積1.73m2あたり毎分20ml以上45ml未満、またはeGFRが1.73m2あたり毎分45ml以上90ml未満で、尿中アルブミン/クレアチニン比(アルブミンはミリグラム、クレアチニンはグラムで測定)が200以上であった。その後、同意を得た生存患者はさらに2年間観察された。試験後の期間にはエンパグリフロジンやプラセボは投与されなかったが、地域の開業医は非盲検のエンパグリフロジンを含む非盲検のSGLT2阻害薬を処方することができた。プライマリアウトカムは腎臓病進行または心血管死であり、有効試験開始時点から試験終了時点までに評価された。
【Results】
EMPA-KIDNEY試験で無作為化を受けた6609例のうち、4891例(74%)が試験後の追跡調査に登録された。この期間中、オープンラベルのSGLT2阻害薬の使用は両群で同程度であった(エンパグリフロジン群43%、プラセボ群40%)。試験期間中および試験後を合わせた期間において、プライマリアウトカムイベントはエンパグリフロジン群3304例中865例(26.2%)、プラセボ群3305例中1001例(30.3%)に発現した(ハザード比、0.79;95%信頼区間[CI]、0.72~0.87)。試験後期間のみ、プライマリアウトカムイベントのハザード比は0.87(95%CI、0.76~0.99)であった。期間中、腎疾患進行リスクはエンパグリフロジン群で23.5%、プラセボ群で27.1%、死亡または末期腎疾患の複合リスクはそれぞれ16.9%、19.6%、心血管死リスクはそれぞれ3.8%、4.9%であった。非心血管死(両群とも5.3%)に対するエンパグリフロジンの影響はみられなかった。
【Conclusion】
進行リスクのある広範な慢性腎臓病患者において、エンパグリフロジンは投与中止後最大12ヵ月間、心腎系への追加的な有効性が継続した。
(Boehringer Ingelheim社他より資金提供)
【開催日】2024年11月13日