– 文献名 –
Unhealthy behaviours and disability in older adults: Three-City Dijon cohort study. Fanny Artaud PhD,et al. BMJ 2013 ;347 :f4240
– この文献を選んだ背景-
我々家庭医は高齢者を診る時、常にCGA(Comprehensive Geriatric Assessmesnt:高齢者包括機能評価)を念頭に入れて高齢者を診察している。今回、高齢者の能力低下に関わる事として、不健康な行為との関わりを研究した興味深い論文を読んだので紹介する。
- 要約 -
【目的】
不健康な行為(低い/中間の肉体活動度、1日1回以下のフルーツ、野菜の摂取、現在の喫煙/過去の喫煙、全く飲酒しない/以前の飲酒/大量の飲酒)とフランスの高齢者の能力低下の危険度との関係(個々の行為と行為の組み合わせとの関係)を調査すること。またこれらの関係に関与する潜在的な因子を評価すること。
【デザイン】
前向きコホートスタヂィ
【セッティング】
Three -City studyのうちのディジョンセンター
【参加者】
3,982人(女性:2,410人(60.5%))
1999~2001年の間の65歳以上のフランス人
健康行為を評価した時点ではベースラインは能力低下はない
【主要評価項目】
3つの能力低下スケール(移動能力、IADL,ADL)から得られたデータの組み合わせ
能力低下の階層別指標(なし、軽度、中等度、重症)
2001~2012年までの間に5回評価
【結果】
12年間のフォローアップ期間中に1,236人(女性:861人(69.7%))が中等度から重症の能力低下に進展した。能力低下の危険性に関与した項目として、低い/中間の肉体活動度(HR:1.72,95%CI:1.48,2.00)、1日1回以下のフルーツ、野菜の摂取(HR:1.24,95%CI:1.10,1.41)、現在の喫煙/過去の喫煙(HR:1.26,95%CI:1.05,1.50)、一方で、アルコール消費量には強い相関関係はなかった。能力低下に関係する不健康な行為の数が増えれば増えるほど能力低下の危険は増加した(P<0.001)。3つの不健康な行為を行っている人は何も不健康な行為がない人と比べるとの能力低下の危険性は2.53倍増した。逆の因果バイアスは最初の4年間で能力低下が見られた人は除外して、排除している。不健康な行為のスコアと能力低下との間の関係の30.5%がBMI,認知機能、うつ病の症状、外傷、慢性疾患、心血管疾患とそのリスクファクターによって説明される。最も関係しているのが慢性疾患であった。
【結論】
不健康なライフスタイルは能力低下の危険性と関係している。不健康な行為が増えれば増えるほど、その危険性は増す。慢性疾患、うつ病の症状、外傷、BMIは部分的にこの関係を説明した。
開催日:平成25年8月21日