― 文献名 ―
Body-Mass Index and Mortality among Adult with Incident Type 2 Diabetes
N ENGL J MED 370;3 Deirdre K. Tobias JAN.16,2014
― この文献を選んだ背景 ―
CQIプロジェクトのピアレビューで、上川チームは旭川チームの作成した糖尿病初診のプロダクトの価を担当した。その中でBMIをチェックしているかどうかの項目があったが、自分の診療を振返っみるとあまりBMIに意識を向けていなかった。糖尿病初診でBMIを知る意義がどれくらいあるのか問に思っていたところ、上川で定期購読しているNEJMに上記論文があったため読んだ。
― 要約 ―
【背景】
2型糖尿病患者における体重と死亡率の関係は明らかにされていないが、一部の研究(特に対象が心不全患者、末期腎不全患者など)では、過体重または肥満の患者の死亡率は、標準体重の患者よりも低い(「肥満パラドックス」)が示唆されているが、その研究の質は低い。
【方法】前向きコホート研究
看護師健康調査(NHS1976年~)と医療従事者追跡調査(HPFS1986年~)から、2010.1.1まにで糖尿病と新たに診断され、診断時には心血管疾患や癌などを有していなかった参加者を対象に検討した。(各8790例、2457例)。また35歳までに糖尿病と診断された物は1型糖尿病の可能性が高いため除外した。BMIが18.5以下も除外した。断直前の体重と身長からBMIを算出した。多変量Coxモデルを用いて、BMI区分ごとに死亡のハザード比と95%信頼区間を推定した。
【結果】
平均追跡期間15.8年の間に,3083例が死亡した。BMI区分と全死因死亡率の間にJ字型の関連が認められた。この関連は喫煙歴のない参加者では線形であったが、喫煙歴のある参加者では非線形であった(喫煙はBMIを下げ、死亡率を上げる方向に影響するため分類した)。糖尿病診断時の年齢が65歳未満であった参加者では、直接的な線形傾向が認められたが、65歳以上であった参加者では認められなかった。(早期死亡(フォロー開始から4年以内の死亡)は診断されていない慢性疾患や脆弱性のバイアスを取り除く一般的な方法。)
【結論】
BMIと死亡率の間には、参加者全体および喫煙歴のある参加者ではJ字型の関連が、喫煙歴のない参加者では直接的な線形の関連が認められた。我々は過体重または肥満の糖尿病患者の死亡率が標準体重の患者よりも低いという肥満パラドックスを見いだせなかった(米国国立衛生研究所、米国糖尿病学会から研究助成を受けた)
【限界】
体重は自己計測なので信用性が低いかもしれない他の人種、文化的コミュニティへの一般化には限界がある
― 考察とディスカッション ―
この論文によって、糖尿病診断時におけるBMIを喫煙歴とともに確認する事で、患者さんにどれだけのリスクがあるかという事を客観的に説明するひとつの材料となるだろう。ただし有病率が異なるので一概には言えない。
<ディスカッションポイント>
皆さんは普段糖尿病と診断した時BMIは意識していましたが?意識していた方はどう意識していましたか?これを読んで診療は変わりますか?
開催日:平成26年3月5日