― 文献名 ―
Comparative effectiveness of alternative PSA-based prostate cancer screening strategiesAnn Intern Med. 2013 February 5; 158(3): 145-153. doi:10.7326/0003-4819-158-3-201302050-00003.
― 要約 ―
【背景】
米国予防医学特別作業部会(USPSTF)は最近、PSA検査を用いた前立腺がん検診は不利益が利益を上回るため中止すべきとの勧告を出した。
【目的】
さまざまなPSA検診システムの相対的有効性評価を行う。
【研究デザイン】
様々なPSA検診システムによる不利益と救命効果を定量化した、前立腺がんの罹患および死亡のマイクロシミュレーションシステム
【データ源】
PSA値の上昇、検診と生検パターン、罹患、治療分布、治療の有効性、死亡に関する全米および臨床試験のデータ
【対象集団】
現在の米国人男性コホート
【対象期間】
生涯
【視点】
社会的
【介入】
検診の開始・終了年齢、検診間隔、生検適応のPSA閾値を様々な設定で組み合わせた35種類の検診システム
【主要評価項目】
PSA検査、偽陽性の検査結果、前立腺がんの発見、過剰診断、前立腺がん死、救命数、救命月数
【基本ケースの解析結果】
検診を実施しない場合、前立腺がん死のリスクは2.68%である。50~74歳の男性に年1回検診を行い、生検適応のPSA閾値を4μg/Lに設定する基準モデルでは前立腺がん死のリスクが2.15%に低下し、過剰診断のリスクは3.3%となる。高齢の男性に対する生検紹介のPSA閾値を高めに設定する戦略を用いると、前立腺がん死のリスク(2.23%)は同程度であるが、過剰診断のリスクは2.3%に低下する。検診を隔年で行い、PSA低値の男性に対する検診の間隔を延ばしたモデルでは、前立腺がん(2.27%)と過剰診断(2.4%)のリスクはほぼ同等であるが、総PSA件数が59%減少し、偽陽性率は50%減少する。
【感度分析の結果】
罹患率の設定値を変えたり、検診の生命予後改善効果を小さくしても結論は変わらなかった。
【限界】
このモデルは前立腺がんの自然史を単純化しており、検診による生命予後の改善効果を確定するものではない。
【結論】
標準的なPSA検診システムモデルと比較し、高齢の男性に対する生検適応のPSA基準値上限設定値を高くするモデル、PSA低値における検診間隔を広げるモデルを用いると、救命効果を維持しつつ不利益を減らすことが出来る。
開催日:平成26年3月19日