―文献名―
Paul Bornemann, Tyler Barreto. Point-of-Care Ultrasonography in Family Medicine. American Family Physician. 2018; 98(4): 200-202.
―要約―
論説 家庭医療におけるポイントオブケア超音波検査
ポイントオブケア超音波検査(POCUS)は、臨床医によってベッドサイドで行われる超音波検査プロトコル
POCUSプロトコルにより表1の問いに答えることができる。
比較的短いトレーニング期間の後に行うことができる
・家庭医レジデントを対象としたPOCUSの使用可能性(feasiblity)の研究
ポータブルエコーを使用した16時間のトレーニング
使用法の学習が容易で診断効率と精度が向上し、患者満足度が上がる
参加者の86%が毎日の実践においてPOCUSを引き続き使用することに同意するか強く同意した
OCUSは医療費を削減する可能性を示すエビデンスが増えている
・救急における尿管結石疑いの評価でエコーとCTを比較した研究
POCUSによる初期検査で転帰の変化なしに59%のCT検査数が減少
・静脈アクセス、胸腔鏡検査、関節症への手技などにおいて超音波検査が合併症を減らす。
POCUSは多くの場面で身体診察やレントゲン写真より優れている
・POCUSを使用する場合、ジェネラリストの左心室収縮機能の評価は循環器科医と同等に正確
医学生でも診断精度を50%から75%に高めることができる。
・POCUSは、蜂窩織炎と膿瘍を鑑別するための身体検査よりも優れている
マネジメントを14%~56%の症例で変更させる。
・POCUSは、胸水、肺水腫、肺炎および気胸を含む多くの肺の診断において、身体診察またはCXpより優れている。
POCUSはイメージングへのアクセスを迅速化し増やすことができる
・POCUSを用いた腹部大動脈瘤のスクリーニングは、感度99-100%。4分未満で完了できる。
・POCUSによる下肢DVTのスクリーニングは、感度95%、特異度96%。4分未満で完了できる。
POCUSには様々なベネフィットがあるため、家庭医療における使用への関心が高まっている
・プログラム責任者らへの2014年の調査
POCUSの公式カリキュラムを取り入れたレジデントプログラムは2%しかなかったが、
29%が(非公式の?)カリキュラムを前年度から開始しており、
11%がカリキュラムを開始する準備をしていた。
・2016年、AAFP(American Academy of Family Physicians)代表者会議の決議
すべての家庭医療プログラムがPOCUSを研修に組み入れることを推奨
POCUS研修を組み入れた継続的な医学教育をAAFPが増やしていく
・AAFPにより、大学医学教育におけるPOCUSカリキュラムガイドラインが作成された(添付資料)
腹部大動脈瘤スクリーニング
・瘤はあるか?
心臓
・左室収縮機能障害はあるか? ・左室肥大はあるか?
・心嚢液はあるか? ・体液量過剰ではないか?
DVT
・DVTはあるか?
肝胆道
・胆石はあるか? ・胆嚢炎はあるか? ・肝脾腫はあるか?
・脂肪肝はあるか? ・腹水はあるか?
筋骨格
・骨折はあるか? ・靭帯あるいは腱の病変はあるか?
・関節液はあるか? ・手根管症候群を示唆する正中神経腫大はあるか?
産科
・子宮内妊娠はあるか? ・胎位は正常か?
・胎児心拍はあるか? ・妊娠期間は?
眼科
・網膜剥離はあるか? ・硝子体出血はあるか?
・頭蓋内圧亢進を示唆する視神経腫大はあるか?
手技の際のガイド
・針、カテーテル、気管内チューブは適切な場所にあるか?
肺
・気胸はあるか? ・肺炎の所見はあるか?
・胸水はあるか? ・肺水腫の所見はあるか?
皮膚軟部組織感染症
・膿瘍はあるか?
甲状腺
・甲状腺に病変はあるか?
泌尿器科
・水腎症あるいは腎結石の所見はあるか?残尿はどれくらいか?
【開催日】
2018年11月8日(水)