病院における終末期患者の治療目標に対する意志決定の障壁因子について

-文献名-
Barriers to Goals of Care Discussions With Seriously ill Hospitalized Patients and Their Families A Multicenter Survey of Clinicians
ohn J. You, MD, MSc1,2; James Downar, MDCM, MHSc3,4; Robert A. Fowler, MDCM, Epi5,6; et al
JAMA Intern Med. 2015;175(4):549-556. doi:10.1001/jamainternmed.2014.7732

-Introduction-
終末期の入院患者に対して、ケアの目標に対するコミュニケーションと意志決定がEOL(end of life)のケアの質を向上させる優先事項である。EOLのケアの質を改善するためには既存の障壁を取り除く必要がある。ただ、今までこれらに対する病棟の臨床家の見解を明らかにした論文はなかった。目的としては病院臨床家の観点から1終末期患者とその家族とのケアの目標を阻害する因子について、2臨床家がこのプロセスに従事する意欲と受け入れについて調査することである。

-Method-
カナダの5つの州の教育施設である13の病院で勤務している内科スタッフ、内科レジデント、看護師を対象とし、医師、看護師で個別性を持つアンケートを3段階で作成した。アンケートの内容に関しては、最初のセクションは臨床問題(Box)を読んでもらい、その中で患者と意志決定を議論する上での21の障壁(家族、患者因子に関わるものが10個、臨床医の要因が4つ、システムに関する要因が7つ)の重要性について、主要アウトカムとして7点スケール(1重要でない7非常に重要)で評価するように回答。
次のセクションではケアの目標に対する様々な側面について調査しています。ディスカッションの会誌、情報交換、コーチング(価値の明確化、治療のオプションなど)、延命を希望するかしないかについての最終的な意志決定についてです。それぞれ参加者はどの程度意欲的に取り組んでいるのか、看護師は職場環境でどのくらいこれらに関わっているのか尋ねられた。これも7点スケール(1意欲がない、7きわめて意欲的である)で評価。紙ベースとWebベースの両方で出来るよう対応。結果は研究調整センターで分析された。
解答に関してはスタッフ医師、レジデント、看護師に分けて記載。カテゴリ変数はカウントとパーセンテージ、連続変数は平均と標準偏差で記載。平均と障壁における95%信頼区間が全試験サンプルで報告。専門科での各障壁に対する重要度の違いも評価した。

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-Results-
2012年9月から2013年3月の期間で、1617人の対象者のうち1256人がアンケート調査を受け解答した。全体の回答率は77.7%(646人の看護師のうち512人[79.3%]、634人のうち484人[76.3%]、337人のスタッフ医師[ 77.2%])。
Figure1はすべての参加者によるケアの目標を決める際の障壁と感じるものの重要性です。
障壁の重要性の順位付けは3グループともに同様であり、家族、患者に関連した因子が最大の障壁となっているとの答えであった。
(家族、患者が短い予後を受け入れられない、治療の限界や合併症の理解が難しい、家族間の合意の欠如、本人の意志決定能力
の欠如)。臨床家は自分達のスキル不足、要因はあまり重要ではないと考えていた。また、障壁の順位は類似していたが各重要度は看護師が最も高かった。
Figure2は意志決定の目標を達成する意欲と支持について記載されている。スタッフ医師が最も意欲的であり、次はレジデントであった。
看護師は目標達成の意欲、職場環境のサポートともに高くはなかった。
Figure3はコミュニケーションと意志決定における様々な専門職との関わりの重要性について記載されている。
スタッフ医師とレジデントは意志決定に非常に重要であると評価された、一方でスタッフ医師、レジデントは看護師と比較して、看護師、SW、他の医療スタッフが意志決定に関わることはあまり重要ではないと評価していた。

【開催日】2018年5月23日(水)