―文献名― 「巻き込む技術」 大和出版 2014.2 桑畑幸博
―要約―
①この人の話なら聞いてみよう」と周りとの距離を縮める。
・本題に入る前に相手に耳を傾けてもらう環境を作る。(つかみが重要)
・計画的に顔をうることが重要。
単純接触効果:接する回数が多いとその対象に好感をもちやすくなる。(ロバート・ザイアンス 1968)巻き込みたい相手に好感を抱いてもらう。ただし、自分が否定的感情を持たない対象との接触という前提条件あり。(正像と鏡像、本人は見慣れた鏡像のほうが好き。)
・第一印象は大事、汚名返上は難しい。
初頭効果:最初の情報から形成される第一印象が、その後の情報の「受け取り方」に影響を与える。(例:印象形成実験 知的で勤勉で頑固な人 vs 頑固で勤勉で知的な人 印象は?)
・ 自分の個性を知り、相手に頼る。
いい人そうだと感じてもらえる個性を意識する。
明るい、真面目そう、優しそう…、寡黙、謙虚なども含まれる。(寡黙だけど聞き上手とか。)
ハロー効果:役に立ちそうだと感じられる知識やスキル、経験(役職なども)
返報性:自分を好きな人を好きになる、自分を嫌いな人を嫌いになりやすい。
まずは相手のどこかよいところを探して自分から好きになることで相手からも好感を抱いてもらう。
好感を抱く相手に「頼る」傾向がある。頼られて嫌な気分になる人は少ない。(自分から相談を。)
・共通点が多いと好感をいだきやすい。
過去の事実:出身地、過去に参加したイベントや趣味
その場の振る舞い:ミラーリング、間合い
考え方のベクトル:共感(共感したふり、共感しずぎも注意)
※否定的反応(いや、でも)は耳を傾ける環境が整ってから。
☆参考:ニューカムのABXモデル
②「これは他人事じゃない」と周りに当事者意識を持たせる ・当事者意識がない人は巻き込めない、なぜ当事者意識をもてないか? 代表例は「自分に自信がないため積極的に関わろうとしないタイプ」 当事者になるのを避けている、役になっている実感がない (環境:叱ってばかりで褒めない上司の下で働いていると「どうせ頑張っても」という気になる) このタイプは褒められた経験だけでなく感謝された経験も少ない人が多い。 →ほめる、感謝することで「役になっている実感」が得られれば当事者意識がもてるようになる。 「失敗を恐れる、守備範囲を決めて積極的に関わらないタイプ。」 リスク回避思考、手段の目的化に陥っているタイプ 仕事の意味がわかれば役になっているという実感がわく。 →意味を示し、様々な立ち場で考えてみること。 失敗にもメリットがあることを示す。(セーフティーネット:責めない、再チャレンジの機会) 「関係ないね、という当事者意識ゼロのタイプ。」 実は関係があることを理解させる方法 ・因果関係を丹念に追いかける(回り回って関係することは多い) ・他人ごとを自分たちに当てはめる (明日は我が身、似た立ち場: 他部門や他業界で起こっていることが自分の立ち場で起こる可能性を考えさせる。)
③「たしかにその通りだ」と周りに理解・納得させる ・理屈で納得させる 伝えるべきことをまとめる。まとめるグルーピング(整理)とラベリング(要約)を繰り返す。 「論理のピラミッド」 結論を複数の根拠で支え、根拠を示す具体的情報で支える。 上から下に「なぜならば」、下から上に「したがって」で繋がる。 ・たとえ話でわかりやすく伝える。 たとえ話を論理のピラミッドで組み立てる。
④「やるしかないでしょ」と周りをその気にさせる ・理屈を心が後押しする 「ワクワク」という高揚感、「ヤバい」という危機感のような相手の感情を刺激する。 プラスの感情とマイナスの感情のどちらを刺激するとこの人は動いてくれるのかを考える。 プラスの感情:喜び、楽しみ、期待感、高揚感、安心感、充実感 →変革志向:現状に満足しないが飽きっぽい、気が短く忙しくしていないと不安なタイプ マイナスの感情:怒り、悲しみ、危機感、挫折感、不信感、焦燥感 →現状維持志向:我慢強く現状への不満は受け入れる、どちらかといえば面倒くさがり、慎重 ・因果関係を示す。 長期的・間接的な影響や結果を丹念に追いかける。 ・ストーリーテリング:あえてメッセージを明示せず相手に答えてもらう。その答えに「その通り!」 (例:さて、彼は何に気をつければよかったと思いますか?)
⑤「あ、そうすると…」と周りに気づかせる ・閉じた質問で確認する 抽象的な発言は「たとえば」と具体例を挙げて、具体例だけの発言は「要するに」と要約して言い換える。 本当ですか?という疑う問いかけ。 ・開いた質問で考えさせる、気づかせる 広く考える=たくさんの答えを出す、深く考える=掘り下げる・突き詰める
⑥「これからもこいつと」と上司を継続的に巻き込む ・対立する思惑に対して「どちらも間違ってはいない」ことを認める。 立ち場や価値観に基づく優先順位が違うだけ。両者が合意できる共通点を見つけ提示する。 (似た者どおしの雰囲気を作る) 共通点を対立する思惑の「上:共通する目的」と「下:一緒にできること」を見つける。 ・反感を買わない どんな話でも最後まで聞く、聞いている途中で否定的な反応をしないこと。 批判は冷静に論理的に。 ※質問の形をとる指示に注意。 「○○したほうがいいと思うんだけど。君はどう思う?」 こう聞かれてもまずは否定せず受け止めて、代案など自分の考えを述べる。 ・非言語情報センサー
☆回りを巻き込むにふさわしい大義はあるのか?を考える。(回りへの影響を考える。)
【開催日】
2014年5月7日(水)