社会的処方の実際〜システマティックレビューから

-文献名-
Social prescribing: less rhetoric and more reality. A systematic review of the evidence
Bickerdike L, et al. BMJ Open 2017;7:e013384. doi:10.1136/bmjopen-2016-013384

-要約-
【目的】社会的処方は、プライマリケア現場の患者とコミュニティ内の支援リソースを繋げる方法である。これは彼らの健康や幸福の改善を助ける目的で行われる。社会的処方プログラムはUK National Health Service内で広く普及、採用されており、私たちはその効果を評価すべくシステマティックレビューを行った。

【セッティングとデータ元】2000年から2016年1月までUK 内で実施された研究を9つのデーターベースで検索した。関連ある報告書やガイドライン、ウェブサイトや検索された文献の孫引き文献も検索をした。全ての検索は英語に限定された。

【対象】システマテックレビューとプライマリケア現場からリンクワーカー(又は社会的処方のファシリテーター)へ患者を紹介したプログラムの評価報告がinclusionされた。Inclusionする研究の選択バイアスは2名の独立した評価者により保証され、
narrative synthesisが行われた。
やり方:http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.178.3100&rep=rep1&type=pdf
透明性への批判:http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)32270-X/abstract

【一次アウトカム、二次アウトカムの測定】一次アウトカムは、健康や幸福またはヘルスサービス利用量の測定結果とした。

【結果】15の社会的処方のプログラムの評価があった。大部分は小規模で不適切なデザインや報告のため限定されたものであった。又すべてで、バイアスが高いという評価であった。よく見られた研究デザインの問題点は、比較群がないこと、フォローアップ期間が短いこと、標準化され確立された測定尺度ではないこと、欠損値や潜在的な交絡因子への不十分な配慮といったものであった。このような明確な方法論の欠点があるにもかかわらず、ほとんどの評価は肯定的な結論を示していた。

【結論】社会的処方は、広くて提唱され実施されているが、現在のところ、成功したかどうか、対価に見合うかの判断をするための十分かつ詳細なエビデンスはない。もし社会的処方がその可能性を示すのであれば、今後の評価は、研究デザインとして比較群をもうけるべきである。そして、いつ、誰によって、誰に対して、どのように、いくらかかるかも考慮するべきである。

【開催日】2018年3月7日(水)