―文献名― Stewart, Brown, Weston, Mcwhinney. Patient-Centered Medicine Transforming the Clinical Method. Radcliffe Medical Press(2014)
―要約―
PCM第3版のまとめ~2版からの変更点~
1. コンポーネントが6つから4つに
「予防と健康増進」「現実的になる」の2つがなくなり、別のコンポーネントや章に組み直された。
またコンポーネント4「医師患者関係を深める」では”信頼””癒しと希望””自己認識の実践知”について加筆されている。
2. 第1のコンポーネントに”Health”の探索が加わった
DiseaseとIllnessの探索にHealthが加わった。
健康観や人生の意味を尋ねることの重要性がCassellの知見を基に大幅に加筆されている。
3. 第2版でのコンポーネント4「予防と健康増進」がコンポーネント1と3に組みいれられた
健康増進と疾病予防は”Health”の探索と同時に行い、その価値や信念について尋ねるプロセスとしてコンポーネント1に、また実際にそれをAgendaとして扱うプロセスはコンポーネント3にそれぞれ組みいれられた。
4. PCMの教育についてアップデートされつつ、カリキュラム作成についての章が消えた
チームワークの教え方やケースを使った教育、FeedbackのSNAPPSの枠組みなど加筆されている。
5. 第2版でのコンポーネント6「現実的になる」のTeamのところが新たな章『ヘルスケアのコンテクストと患者中心のケア』として昇格
新たな章:Part 4『The Health Care Context and Patient-Centered Care』としてTeam-Centered ApproachとHealth Care Costが加わった。
Teamの所では、患者中心の医療を実践するためにPCMの臨床と教育を並行して進めることは過去の方法で、新たにチームの機能を強調し、臨床・教育と同様のモデルでチーム医療について記述している。
6. PCM研究で具体的なPCMのエビデンスの集積が記載されている
これまでの研究結果から、ケアのプロセス、医療者の行動、患者のアドヒアランス、健康の質そのものの改善が詳述されている。
―考察とディスカッション―
後期研修目標の議論で中心として扱ったコンポーネント1.2.3.5がそのまま新しいコンポーネントになっていることは今までのHCFMの実践と教育と一致しており心強く感じた。
PCMの4つのコンポーネントが教育のみならずチームにも適応され、臨床と教育の2つを並行して扱うのみならず、臨床と教育とチームワークという3つを並行して扱うという書籍の構成は、ORSCなどでHCFMが扱っているテーマ・課題と一致しており今後の取り組みへのヒントになると感じた。
また教育面のアップデートについても後期研修会議などで指導医で共有し、今後のレジデンシー教育に反映していきたい。
【開催日】
2014年5月7日(水)