―文献名―
ケリーパターソン,ジョセフ・グレニー,ロン・マクミラン,アル・スウィツラー.ダイアローグスマート 肝心なときに本音で話し合える対話の技術.2010
―この文献を選んだ背景―
院内勉強会のニーズ調査のためのアンケートで、コミュニケーション法や自分に怒りや敵意をぶつけてくる相手の対処方法が知りたいというニーズがあった。以前にダイアローグについて聞いた事があり、ニーズに適していると感じ、ダイアローグの勉強会を企画するため本書を読んだ。
―要約―
序文
筆者らが「緊迫した会話」と呼ぶ重要かつ難しい会話に適切に対応することで、お互いの関係性が深まり、高い次元での絆が生まれる。本書では「緊迫した会話」に適切に対応するための手法(ダイアローグ)を段階的に掘り下げている。
第1章 緊迫した会話とは何か、それは何故重要か
大きな利害関係、意見の対立、強い感情が存在すると何気ない会話が緊迫した会話に変化する。その会話が重要であればあるほど上手く進めることが難しい。緊迫した会話を避けたり、不適切に扱うとキャリア、組織の運営、人間関係、健康など幅広い側面に影響する可能性がある。
第2章 会話の達人になる−ダイアローグの驚くべき力
・論争になったり感情的になったりしている場面で、会話が成功するときは必ずその場にいる人々の本音が自由に行き交う状態になっている。
・自由に自分の思いを打ち明けることで、バラバラな個人の思いをひとつの思いのプール(共有の思いのプール)として蓄積する。
・共有の思いのプールが大きければ大きいほどグループとして正しい決定が可能になる。
第3章 自分から始める−欲しいものに集中する
・自分から始める:自分が直接変えることが出来るのは自分だけということを思い出す
・自分が本当に欲しいものに集中する:自分はどんな動機から行動したのかを問う
・愚かな選択を避ける:欲しくないものを明確にして欲しいものと対立させる
第4章 状況をみる−安心の揺らぎに気づく
緊迫した会話では以下の3つの状況を探す
・緊迫してきた状況:自らの身体、感情、行動の変化に注目する
・安心を揺るがす問題に注意する(沈黙、口撃)
・ストレス時の自己のスタイルに注意する
第5章 安心させる−何でも話せるようにする
・本題から離れる
・安心のどの部分が揺らいでいるか見分ける:共通の目的、相互の敬意
・必要なら謝る :敬意を冒したときは誤る
・コントラスト化で誤解を訂正する :意図しないことを話し次に意図することを話す
・双方の目的が相反していたらCRIBを使う :commit(共通の目的を見いだす決意),recognize(手段の奥にある目的を理解),invent(共通の目的を創る),brainstorm(新たな手段をブレインストーミングする)
第6章 ストーリーを創る−感情に流されずにダイアローグを続ける
強い感情が原因で沈黙や口撃から抜け出さなくなったら以下をためす
・行動のプロセス(事実➡認知➡感情➡行動)を逆さにたどる:行動の自覚、感情の見極め、事実に立ち返る
・新しいストーリーを創る
第7章 プロセスを告げる−摩擦を起こさずに説得する
話しにくいメッセージや自分の正しさを確信しているため強引に押しすぎるかもしれないと思うときにはプロセスを告げるSTATEを使う:share(事実を共有する)、tell(自分のストーリ−を話す)、ask(相手のプロセスを尋ねる)、talk(仮説として話す)、encourage(チャレンジを奨める)
第8章 プロセスを引き出す−激怒する相手、だんまりを決め込む相手から引き出す
第9章 行動につなぐ−緊迫した会話を行動と結果に結びつける
【開催日】
2014年7月23日(水)