-文献名-
Charles B. Eaton, MD, MS, FAHA et al. A Randomized Clinical Trial of a Tailored Lifestyle Intervention for Obese, Sedentary, Primary Care Patients. Annals of Family Medicine, July/August 2016; 311-319
-要約-
<目的>
プライマリ・ケアにおける肥満患者に対し、患者に合わせたライフスタイルへの介入を行うことが、体重減少と身体活動量増加の助けになるかどうかを試験すること。
<方法>
ロードアイランド州にて24ヶ月間行われた無作為化臨床試験である。プライマリ・ケア医によって同定された肥満・低活動性の患者に対し、減量と中等度の身体活動について動機づけが行われた。患者は強化介入群と標準介入群の2つに無作為に割り付けられた。どちらの群に対しても、3回の対面での減量に関する話し合いが行われた。強化介入群にはさらに、食事と身体活動に焦点を当てた電話相談、患者に合わせた印刷資料、DVDが提供された。1年目は積極的介入をする時期とし、2年目は介入を漸減し維持期とした。
<結果>
24のプライマリ・ケアの現場で、211人の肥満・低活動性の患者が募集された。患者の79%は女性で、平均年齢は48.6歳、BMIの平均は37.8kg/mm2、中等度の身体活動を週に21.2分行っていた。強化介入群では標準介入群よりかなり多くの患者が元の体重から5%の減量を達成していた(P<0.001)。その差は、特に積極的な介入を行っていた6ヶ月の時点(強化介入群37.2%、標準介入群12.9%)と12ヶ月の時点(強化介入群47.8%、標準介入群11.6%)では有意であったが、維持期の18ヶ月(強化介入群31.4%、標準介入群26.7%)、24ヶ月(強化介入群33.3%、標準介入群24.6%)では有意ではなかった。強化介入群では、標準介入群と比較し、有意に長い時間の中等度の身体活動を実践したと報告された(P=0.04)。6ヶ月の時点では、強化介入群では95.7分/週、標準介入分では68.3分/週。12ヶ月の時点では強化介入群で126.1分/週、標準介入群で73.7分/週。18ヶ月の時点では強化介入群で103.7分/週、標準介入群で63.7分/週。24ヶ月の時点では強化介入群で101.3分/週、標準介入群で75.4分/週。同様の傾向が実際の体重減少にもみられ、その割合は身体活動に関する国のガイドラインに達するものだった。
<結論>
肥満、低活動性のプライマリ・ケア患者に対する患者に合わせたライフスタイルへの介入は、体重減少と中等度の身体活動の増加を促す。その効果は12ヶ月でピークに達し、24ヶ月では減弱する。
-考察とディスカッション―
研究結果としては、有意差が出たのは初めの6~12ヶ月で、その後の維持期については強化介入群の方が目標を達成している割合は高いもののその有意差は出ていなかった。一方で、標準介入群でもライフスタイルカウンセラーと面談したりパンフレットを渡されたりなど、介入はそれなりにされており、実際に自分のこれまでの外来でもそこまできちんとした介入はやっていなかったように思う。
禁煙外来のように、ある程度決まった方法で行う「減量外来」のような枠組みがあれば、それほど強い介入をしなくてもある程度減量や運動習慣の確立ができる患者はいるのでは、と思われた。
ディスカッション
・これまで、減量を目的に外来通院し、実際に減量を達成できた患者さんはいましたか?
・もしいれば、その方にはどのような介入をしましたか?
・外来で減量を積極的に勧めていく際に、現実的にはどのような戦略がとり得ると思いますか?
【開催日】
2016年9月21日(水)