-文献名-
J. LeBron McBride. Making Family Practice Doable in Everyday Life. Fam Pract Manag. 2003 Apr;10(4):41-44.
-要約-
Healerであろうとする者は、感情的にも肉体的にも霊的にも仕事のストレスに傷つき潰されることがあり得る。
怒った患者・managed careの否認・Medicareのaudit・日々の業務で求められる事…これらは家庭医療の実践を難しいと思わせるストレッサーとなる。しかし、あなた自身の内面に取り組むことによって、あなたの人生をよりよいものに出来る。次の10項目は、実現するのはたやすくはないが、個人的かつ職業的に大きな恩恵をもたらす可能性がある。
1. 「デッドゾーン」を復活させる
生きていくために、自分自身の一部(感情・情熱・他人との関係性など)をシャットダウンしている、
つまり「デッドゾーン」を作り出している場合がある
→可能な介入:
あなたの人生のpositiveな経験を積極的に思い出そう
・何がその経験をpositiveにさせたのか?
・何がその経験を可能にしたのか?
・今現在、その類の経験へのバリアはあるか?
2. 「呼び声(calling:天職??)」を取り戻す
プラトーは、個々人はそれぞれ特別な呼び声と共にこの世界にやってきたと考えた
家庭医として、自分の仕事を満足いくものにしたいなら、自分自身の呼び声を見つける,または再発見する必要がある
→可能な介入
なぜあなたが医療を行おうと考えたかを振り返ろう
・この分野を追求しようとあなたを駆り立てたのは何か?
・あなたが患者の人生によい影響をもたらしたことを、患者が伝えてくれた時のことを考えよう
・患者からの感謝の言葉やカードを読み直そう、または、彼らのpositiveな物語を集め始めよう
3. 意味を振り返る
個々人の精神衛生は、態度や人生哲学や人生における意味に基づいている。
あなたの人生や仕事の意味を振り返る時間を持つことは重要である
→可能な介入
医療がとてもストレスフルな時、その意味についてあなたは人生の他のどの領域を考えるか?
このような関与は、あなたが人生の他の難しい領域との直面を要する意味や目的をあなたに与えてくれ得る
4. 「超越」を思い出す
単調な日々や時折起こる危機を超越していく必要がある
(乗り)超えていく人生はあなたが生き残る手助けとなる
ある人にとっては「超越」とは霊的なことであったり、
またある人にとっては普通の出来事から普通でないことに気づいたりユーモアを見出したりすることであったりする
→可能な介入
・あなたの人生の信仰面や精神面へ体系(構成?)を与え得る宗教団体はあるか?
・神や大きな力や医師として仕事をする際の影響力を感じたのはいつか?
・普通の出来事が普通でない意味をもつことを日々振り返る
・冗談や漫画やユーモラスな人生経験を集め、職場の同僚と共有しよう
5. 焦点を取り戻す
あなたがmanaged careや他のストレッサ―の気晴らしに焦点を当てる際は、家庭医療の美しい部分を見つけるためだけに家庭医療を振り返るだろうが、それでは焦点がぼやける
家庭医には「contact zone」と呼ばれるものが必要
「contact zone」は、医師と患者がやり取りや交渉を行う神聖な空間である
→可能な介入
・数人の患者を選び、その患者と「contact zone」を創造する計画を立てよう
・彼らの医療以外の側面について関心を寄せるよう努力しよう
6. 避難場所を探す
医療外で避難場所や聖域を見出すのは重要である
自然の中や教会・寺院・モスクなどより儀礼的な場でそれを見出すかもしれない
どこであろうと、その場所はあなたが人生の異なる声を聴くに足る期間、あなたの精神を鎮めることを許すべきである
→可能な介入
・自然保護区を散歩し、草木や地形の詳細に焦点を当てよう
7. 規律を更新する
多くの医師は、患者には生活習慣の改善を求めたりするが、自身の生活の中ではその規律を実践しない
しかし他の人々と同様、あなたも健康的な習慣を必要としている。ストレスがあるならなおさらそうである
→可能な介入
あなたがあなた自身の医師であれば、あなた自身に対してどんな生活習慣改善が必要と伝えるか?
8. 忍耐を強化する
抑圧された願望を満たそうと多額の債務に陥った研修医が散見される
経済面も含め、人生は一歩ずつであることを肝に銘じておく必要がある。進歩は小さな一歩から始まる
→可能な介入
・医学以外のものを呼んだり、1日15分だけでもリラックスしたりしよう
あなたは職業人として、また個人としてより忍耐強くなる自分自身に気づくだろう
9. 反応性を減らす
ストレッサーに対して反応的(反発的?)にでなく積極的に取り組むべきである
反応的になると、防御的な立ち位置となり、機能不全の反応を起こし得る(不安・怒り・物質乱用・自殺…など)
→可能な介入
あなたを怒りや反応性をよりpositiveな方向へ導いてくれるカウンセラーと面談しよう
10. 自己認識を回復する
医師が自分自身を癒すためには、まず自分自身を知ることが必要である
→可能な介入
もしあなたがあなた自身に苦労するなら、信頼できる友人とそれを少しずつ共有しよう
-考察とディスカッション-
家庭医のストレス対処についての10の項目でした
皆さんが
①仕事上のストレスを対処するときに気を付けていること、
②家庭医を続けていくために工夫していること
はどんなことでしょうか?
【開催日】
2016年7月6日(水)