-文献名-
U.S. Preventive Services Task Force. Behavioral and Pharmacotherapy Interventions for Tobacco Smoking Cessation in Adults, Including Pregnant Women. American Family Physician. May 15, 2016; 93(10):860A-860G
-要約-
【禁煙に対する行動的介入、薬物的介入のまとめ(Table 1参照)】
・妊娠していない成人について
薬物的介入と行動的介入が推奨される(Grade: A)。
行動的介入単独、あるいは薬物的介入との併用が禁煙の達成率を上昇させる。
・妊娠している成人について
行動的介入が推奨される(Grade: A)。薬物的介入は推奨されない(Grade: I statement)。
行動的介入は禁煙達成率を上昇させ、胎児体重を増やし、早産のリスクを減らす。
薬物的介入(ニコチン置換療法、ブプロピオン、バレニクリン)は禁煙の達成や、周産期の子のアウトカムに対してエビデンス
不十分あるいはない。
・全ての成人について
電子ニコチン送達システム(電子タバコなど。electronic nicotine delivery systems;ENDS)は推奨されない (Grade: I statement)。
ENDSは禁煙あるいは周産期の子のアウトカムに対してエビデンスが不十分である。
【臨床での考察】
妊娠中の女性について
・行動的介入(カウンセリング、フィードバック、健康教育、動機づけ、社会的サポート)が効果的である。
通常ケアやコントロールと比べて、行動的介入は禁煙率を11%から15%へ引き上げる。
・行動的介入がうまくいかなかった女性に対して、他の禁煙オプションは有効かもしれない。いくつかの研究で、ニコチン置換療法が周産期の子の
健康アウトカムに有用だとエビデンスを示している。その結果は主に潜在的な利益を示しており、全体のエビデンスは非常に限られたもので、
明確に結論づけることはできない。ニコチン置換療法は妊娠カテゴリーDの薬剤であり、治験や販売後の使用経験から胎児へのリスクが
示されている。
しかし、妊娠期間中に喫煙を続けるよりは安全かもしれないと言われている。ブプロピオンとバレニクリンについては研究が見つかっていない。
これらの薬は妊娠カテゴリーCで、動物実験では胎児への副作用が示されているが、ヒトでは十分な研究がない。
・妊婦への薬物的介入については、利益と害のバランスについて明らかなエビデンスがなく、臨床医は各患者に喫煙の重症度を考えて、
意思共有をした上で治療方針を決めていくことが推奨される。
【開催日】
2016年5月25日(水)