-文献名-
井原裕.プライマリケアの精神医学-15症例、その判断と対応-
-要約ー
この本の類書と異なる点は、「たった一つのこと」しか書かれていないということです。
すなわち、「うつ・不安・不眠を訴える患者さんには、ヘルシーな生活習慣を勧めさえすればよい」、それだけです。
とにかく、ひたすら生活習慣を診ることです。
「生活の健康こそ、こころの健康」
実地医家は、とりあえず始めなければなりません。
いわば、過酷な自然状況でサバイバルしていかなければならない冒険家のようなものです。
重装備は不可能で、携帯できるナイフは1本のみ。それこそがプライマリケア精神医学の本質だと思うのです。
症例1 「まったく眠れない」というお年寄り
症例2 「明け方まで眠れない」という若者
症例3 「3,4時間しか寝なくても大丈夫」と言う体調不良の働き盛り男性
症例4 ため息をつきながら、身体の不調を訴えるお酒好きの50歳男性
症例5 職場でパワハラを受けたとおっしゃる住宅資材メーカー31歳男性
症例6 不安発作頻発の37歳キャリア・ウーマン
症例7 退職後ひきこもって昼間から酒を飲んでいる初老男性
症例8 「復職が不安だ」と言う若手女性教師
症例9 帰省中に被災した男性看護師
症例10 PTSDを心配した教師に連れてこられた被災者少年
症例11 やさしい精神科医に多剤併用を受けていた22歳女性
症例12 セカンド・オピニオンを求めて来院した26歳OL
症例13 眠たいのに心理カウンセリングを受けさせられていた11歳女児
症例14 元気の出る薬を執拗に要求するネット依存の若者
症例15 本人の代わりにPTSDの診断書を求めて内縁の夫が来院した29歳女性
軽症および中等症のうつ病では、SSRIとプラセボの有効性において有意差は認められず、最重症でのみ有意差が示された。
<依拠すべき5つの常識>
・「寝不足だと体調が悪くなる」
・「時差ボケだと頭が痛くなる」
・「酒の飲みすぎは体によくない」
・「運動不足だと体力が低下する」
・「人は寂しさには耐えられない」
<問うべき5つの質問>
・「平日は何時に寝て、何時に起きています?」
・「休日は何時に寝て、何時に起きています?」
・「酒は週何回? どのくらい?」
・「1日1回は外出しています?」
・「1日1回は人と会っています?」
<具体的な指導はたった5つ>
・1日7時間以上、週50時間以上の睡眠
(年齢による若干の補正必要)
・平日休日の起床時刻時間差を2時間未満に
・週3日の断酒日を
(薬物療法するなら完全断酒)
・1日最低30分は外出
週1回は半日程度の外出
・1日最低1回は人と会って話す
【開催日】
2016年3月23日(水)