―文献名―
高木晴夫.プロフェッショナルマネージャーの仕事はたった1つ.2013.かんき出版.223p
―要約―
【マネジメントは経営資源を配分する仕事】
マネジメントという仕事は、ヒト、モノ、カネ、情報という4つの経営資源を、部下を中心とした人々に「配る」ことの繰り返しである。若手(現場)マネージャーが配るもののうち最も大切なものは「情報」である。
【部下が目標達成するために必要とする5つの情報】
マネージャーが部下に配る情報とは、部下が目標を達成するために必要となる情報である。これには次の5つがある。
1. 状況情報:会社や部署の市場におけるポジションや現在の業績、合併や提携の話など
2. 方向性情報:会社や部署がどちらに向いていくか
3. 評価に関する情報:上司であるあなたからの評価、顧客からの評価
4. 個別業務情報:業務の手続きや規則をどうするか
5. 気持ち情報:上司であるあなたの気持ちを適切に伝える
【「配る」が部下の動機付けをあげる】
マネージャーには4つの仕事がある。⑴部門目標の達成、⑵部下への仕事の割り振り、⑶部下の教育・育成、⑷部下の動機付け、である。このうち、最も大切な仕事は「⑷部下の動機付け」である。マネージャーの仕事は「すでにいる部下」に「仕事を与える」ことからはじまるため、仕事を与える前から、その部下が動機付けを高く持っていてくれることが必須になる。
情報を配ることは部下の「動機付け」に極めて重要である。動機付けのメカニズムはシンプルで、Aさんが自分の仕事に対してなんらかの「働きかけ」を行うと、仕事から「手応え」が戻ってくること。この条件さえ保たれていれば、動機付けは高く維持される。この「働きかけ」と「手応え」というサイクルをまわすときに、次のような疑問を持ち、それを理解し、結論を得ようとする。
① どんな状況で、それがどんな意味をもつのか
② なぜその仕事を担当するのか
③ その仕事はどう評価されるのか
④ 上司であるあなたは何を考えているのか
上司の見える範囲の高さは部下よりも上の階層からの視点になり、部下よりも格段に物事がよく見えている。だから、上司は自分が見えているものを部下に配ることで、部下により正確で正しい「認識」(①ー④のこと)を持ってもらえる。補助業務の人は、自分の仕事が目標達成の役に立ってはいるものの、その手応えというのが本人のところには戻らないため、ますます情報を配る重要性が高くなる。
―考察とディスカッション―
ここまでで、現場マネージャーが配分する経営資源は主に情報であること、情報を配ることは部下が目標を達成したり、動機づけるために特に重要であることを確認した。
<ディスカッション>
1. 部下を動機付けるために、部下にはどんな情報が足りていなくて、どんな情報を配ればよいか、意識していますか?
2. あなたが部下に①−④に関する情報を配っている場合は、それによって部下は動機づけられていると感じますか?もしそう感じない場合は、
それはなぜだと思いますか?
3. プレイイングマネージャーはマネージャーとして機能するための時間が限られているため、情報を配ることがおろそかになりかねませんが、
ここがおろそかになるとチームが機能不全に陥る可能性が高まります。情報を配ることがおろそかにならないように、皆さんが取り入れている
工夫にはどんなものがありますか?
【開催日】
2016年2月17日(水)