地域包括ケアの社会理論

【文献名】

猪飼周平:地域包括ケアの社会理論への課題. 2010

【背景】

以前、山田(HCFM)を中心としたインタレストグループ『「地域・コミュニティをケアする」ためのガイドを作りたい!』にて紹介された文献であり、2012年3月14日に「地域包括ケア」のシンポジストを頼まれたことをきっかけに読んでみたところ、地域包括ケアの理論的背景としてかなり共感できる部分があったため、一読をお勧めしたくこの文献を選んだ。

【要約】

<背景>
  現在、「地域包括ケア」という言葉は、日本の保健・医療・福祉関係の間では、次代のヘルスケアシステムを指し示すものとして広まっている。しかし、それらの取り組みが、より大きな文脈においていかなる位置を占めているかという知識に欠けている。たとえば、様々な事例集はそれ自体として単なる道具的知識であり、それぞれの道具が何のための道具なのかも、道具を使って何を制作すべきかも、道具には指示されていない。
  社会理論は、これらの活動を社会の大きな文脈のどこに位置しているかを示す。そしてそれは、実践家に「現在地」を知らせる「地図」のような存在である。本稿はやがて本格的に構築されるべき地域包括ケアの社会理論のためのたたき台を提供することである。

<地域包括ケアを必然化する健康概念の転換>
  現在、ヘルスケアシステムにとっての目標概念である「健康」の常識が、過去と現在で転換が生じてきている。
過去の「健康」とは20世紀初頭に治療医学が発展することによって概念づけられた。そして、その「健康」とは医学的な意味において「病気ではないこと」を意味していた(「医学モデル」)。そのために「健康」を損ねた時の回復手段も医学的治療であり、社会のヘルスケアシステムも医学的に最も病気ではない状態の可能性を追求できるヘルスケアシステムとなった。
しかし、現在の「健康」は徐々に治療医学的な観点ではなく、QOLの高さによって定義されはじめてきた。つまり、「健康」になるためには健やかな生活がもたらされることが目標となってきたのである(「生活モデル」)。そのために、社会のヘルスケアシステムもQOLを向上させることが目標となるヘルスケアシステムに転換してきた。
そのため、今日的状況がヘルスケアへの「生活モデル」浸透の途中段階であると理解することを踏まえると、きたるヘルスケアシステムが地域性と包括性を帯びることが必要となってくる。

<地域包括ケアの特徴>
(1) 地域包括ケアシステムの両極性
  興味深いことに、治療医学の進歩が健康システムに与える影響は、健康概念の転換による影響と干渉しあうというより、補完的な関係にある。というのも、病院がもっぱら急性期患者に対応する傾向を強めていけば、濃厚な治療サービスを必要としない患者は急性期病院の外側(=在宅方向)に押し出されていくことになるが、それは患者を在宅方面に引っ張ろうとする包括ケアシステムの引力と基本的に同じ方向を向いているからである(それぞれの目的は異なっているが)。いずれにせよ、総じて地域包括ケアシステムの形成は、上記の両極における2つの磁場を軸に行われる。
(2) 目的を外部に依存するシステムとしての地域包括ケアシステム
 地域包括ケアシステムは、健康というヘルスケアシステムの目標の定義をシステムの外部に依存するシステムとなる。つまり、健康概念の定義が治療医学から生活の質に換していくことは、医療社会学が警戒してきた医師による患者に対する搾取(ex.医師-患者関係が患者にとって従属的な関係)、医療における社会に対する搾取の可能性の構図から解放されることを意味する。
 他方で、地域包括ケアシステムが生活の質に基づいて健康を定義するということは、強度に自己決定に依存するヘルスケアシステムになると考えられる。つまり、人々の「生存権」よりも「自由権」に基づくヘルスケアシステムとなり、望む、望まないにかかわらず、システム自体が人々に自己決定を要請することになる。
(3) 高級なヘルスケアシステムとしての地域包括ケアシステム
  地域社会では、施設ではカバーできないニーズに対応することが可能であるので単純には比較できないが、少なくとも、あえて効率性の低い場所でケアが展開されるという側面があることは否定できない。したがって、より大きな経済的・社会的コストの負担が発生することは否めないという特徴がある。

【開催日】
2012年3月14日

PSAによる前立腺癌のスクリーニング:前立腺癌死亡率をアウトカムとした11年間の追跡結果

【文献名】

Prostate-Cancer Mortality at 11 Years of Follow-up
F.H. Schroder and others(N Engl J Med 2012; 366 : 981 – 90.)

【背景】

PSA検診は男性のがん検診として、一般的に用いられているが、USPSTFでは「死亡率の減少は期待できない」として推奨されている検査ではない。調べてみるとその根拠として米国のProstate,Lung,Colorectal,and Ovarian Cancer Screening Trial(PLCO)と、欧州のEuropean Randomized Study of Screening for Prostate Cancer(ERSPC)の2つの無作為化比較対照試験における結果が相反する結果となったため、USPSTFはPSA検診後の過剰治療などの不利益を問題視すべきだと判断し「推奨しない」という判断になったようだった。今回そのERSPCのさらに2年追跡した論文が出ていたので読んでみることとした。

【要約】

<背景>
 前立腺癌の死亡率に対するPSA検査の効果を評価したいくつかの研究は異なる結果を示している。
欧州前立腺癌スクリーニング無作為化試験(European Randomized Study of Screening for Prostate Cancer)において,さらに 2 年間の追跡調査による最新の前立腺癌死亡率を報告する。

<方法>
研究はエントリー時に 50~74 歳であった男性 182,160 例で,事前に規定した 55~69 歳のコアな年齢群の162,388 例で行われた.この試験は欧州 8 ヵ国で行われた.スクリーニング群に無作為に割り付けられた男性には PSA スクリーニング検査を施行し,対照群の男性にはそのようなスクリーニングは施行しなかった.転帰は前立腺癌死亡率とした.

<結果>
コアな年齢における11年の追跡調査では、スクリーニング群における前立腺癌死亡リスクの相対的減少は 21%(rate ratio,0.79; 95% confidence interval [CI], 0.68 to 0.91; P = 0.001)であり、コンプライアンスの悪い人を補正すると29%であった。死亡数のARは1,000 人年あたり 0.10 例で,無作為化された男性 1,000 例あたり 1.07 例であった.追跡調査 10 年目・11 年目における前立腺癌死亡のRRは 0.62(95% CI 0.45~0.85,P=0.003)であった.追跡調査 11 年の時点での前立腺癌死亡を 1 例予防するには,1,055 例にスクリーニングへの参加を呼びかけ(the number of men who would need to be invited (NNI)),前立腺癌 37 個を発見する必要がある(the number of prostate cancers that would needed to be detected (NND))と考えられる.全死因死亡率に群間で有意差は認められなかった.

<結論>
さらに 2 年間の追跡調査の解析により,PSA 検査に基づくスクリーニングを行うことで前立腺癌死亡は有意に減少するが,全死因死亡への影響はないという以前の結果が裏付けられた.

【開催日】
2012年3月21日

口腔ケアと心血管疾患

【文献名】

Toothbrushing, inflammation, and risk of cardiovascular disease: results from Scottish Health Survey
Cesar de Oliveira, research fellow in epidemiology and public health, Richard Watt, professor and honorary consultant in dental public health, Mark Hamer, senior research fellow in epidemiology and public health
BMJ 2010; 340 doi: 10.1136/bmj.c2451

【要約】

<Objective>
To examine if self reported toothbrushing behaviour is associated with cardiovascular disease and
markers of inflammation (C reactive protein) and coagulation (fibrinogen).

<Design>
National population based survey.

<Setting>
Scottish Health Survey, which draws a nationally representative sample of the general population living in
households in Scotland.

<Participants>
11 869 men and women, mean age 50 (SD 11).

<Main outcome measures> 
Oral hygiene assessed from self reported frequency of toothbrushing. Surveys were linked prospectively to clinical hospital records, and Cox proportional hazards models were used to estimate the
risk of cardiovascular disease events or death according to oral hygiene. The association between oral hygiene and
inflammatory markers and coagulation was examined in a subsample of participants (n=4830) by using general
linear models with adjustments.

<Results> 
There were a total of 555 cardiovascular disease events over an average of 8.1 (SD 3.4) years of follow-up,
of which 170 were fatal. In about 74% (411) of cardiovascular disease events the principal diagnosis
was coronary heart disease. Participants who reported poor oral hygiene (never/rarely brushed their teeth) had
an increased risk of a cardiovascular disease event (hazard ratio 1.7, 95% confidence interval 1.3 to 2.3; P<0.001) in a fully adjusted model. They also had increased concentrations of both C reactive protein (β 0.04, 0.01 to 0.08) and fibrinogen (0.08, ?0.01 to 0.18). <Conclusions> Poor oral hygiene is associated with higher levels of risk of cardiovascular disease and low grade inflammation, though the causal nature of the association is yet to be determined. 【開催日】 2012年2月25日

“BMIに関わらず”、腹囲は死亡率上昇の危険因子

【文献名】

Eric J. Jacobs, PhD.et al.Waist Circumference and All-Cause Mortality in a Large US Cohort.Arch Intern Med. 2010;170(15):1293-1301.

【要約】

<Backgroun>
腹囲はBMIにかかわらず死亡率上昇と関連している。腹囲とBMIの程度(階層ごと)との関連性などはあまりよく分かっていない。

<Methods>
 目的は腹囲と死亡率に相関があるかどうか。
 期間は1997年~2006年
 対象者はCancer Prevention Study II Nutrition Cohortにおける男性48500人、女性56343人。
   ⇒baseline characteristics(table1)
  除外基準:・データの収集が不十分な場合
       ・信用性に乏しい腹囲(51cm以下、190cm以上)
       ・BMIが18.5以下、60以上
       ・喫煙状況が不明
       ・疾病によるバイアスを排除するため1992年から1997年の間に4.5kg以上体重の体重減少
       ・同期間内に11.3kgの体重増加。
       ・50歳未満
 総死亡数は男性9315人、女性5332人であった。
 対象者は腹囲を自己測定し報告。
(本研究では妥当性の検証は行っていないが、過去の研究で自己測定の有用性は報告されている。)
 BMIは1997年に報告された体重と1982年に報告された身長を用いた。
 
<Results> 
 BMIと他のリスクファクターの調整後、男女共に腹囲が高値であれば死亡率が約2倍であった。
  男性では…RR = 2.02; 95% CI, 1.71-2.39 (腹囲≧120cmと<90cmを比較して)  女性では...RR = 2.36; 95% CI, 1.98-2.82 (腹囲≧110cmと<75cmを比較して)  腹囲は全てのBMIにおいて死亡率に対して正に相関していた。(table2.) (Figure)  腹囲を10cm刻みに階層化し、BMIの階層とそれぞれ相関を検討した(table3.)   男性ではBMI18.5-25...1.16(95%CI,1.09-1.23) BMI25-30... 1.18(95%CI,1.12-1.24) BMI≧30...  1.21(95%CI,1.13-1.30)   女性ではBMI18.5-25...1.25(95%CI,1.18-1.32) BMI25-30... 1.15(95%CI,1.08-1.22) BMI≧30...  1.13(95%CI,1.06-1.20)   男性では全ての階層で相関の強さにさほどの差はないが、女性ではBMI正常群でより相関が強い。                                   (理由は不明) <Conclusion> BMIに関わらず、高齢者における死亡率の危険因子として腹囲は重要である。 【開催日】 2012年1月25日

ワーファリン投与中のPT-INR測定は12週毎でもよい?

【文献名】

Warfarin Dose Assessment Every 4 Weeks Versus Every 12 Weeks in Patients With Stable International Normalized Ratios A Randomized Trial. Sam Schulman, MD, PhD; Sameer Parpia, MSc; Clare Stewart, MA; Lisa Rudd-Scott, RN, BScN; Jim A. Julian, MMath; and Mark Levine, MD, MSc
Ann Intern Med. 2011;155:653-659.

【要約】

<背景>
ガイドラインではワーファリンを内服している患者ではPT-INRを4週間毎に測定するように推奨されている。

<目的>
12週毎の測定が4週毎の測定と同じくらい安全かどうかを調べた。

<デザイン>
ランダム化非劣性試験。ランダム化のスケジュールはパソコンで作成。集中スケジュールを用いることで、データがロックされている限り、配分は隠された。患者、研究や臨床に関わる人、臨床イベントを審査する人、研究の統計者に治療割り当ては盲検化されていた。
セッティング:カナダのオンタリオ州、ハミルトンの単一センター

<患者>
長期間のワーファリン治療を受けている250人の患者で、少なくとも6か月間は用量の変更がない患者。226人が研究を終了した。

<介入>
12か月間、4週毎の用量評価と12週毎の用量評価を比較した。12週のグループも4週毎に検査を実施し、2回目と3回目は至適範囲内の偽りのPT-INRの数値を報告した。

<測定>
1次アウトカムは治療域に入った回数の割合で、2次アウトカムは治療域を外れたPT-INRの回数の割合と維持量の変更回数の割合、主要な出血イベントの発生率、客観的に確認された血栓塞栓症の発生率、死亡率である。

<結果>
治療域に入った回数の割合は4週で74.1%、12週で71.6%であった。4週のグループ(55.6%)よりも12週のグループ(37.1%)の方が用量の変更は少なかった。2次アウトカムに差はなかった。

<限界>
12週のグループの患者も4週毎に検査をし、クリニックのスタッフと接触していた。この研究は単一のセンターで実施され、代理アウトカムを使っていた。

<結論>
ワーファリンの用量は12週毎の評価でも4週毎の評価と同じくらい安全で、非劣性はなさそうである。12週毎のPT-INR検査を臨床でルーチンに推奨するためにはPT-INR検査と患者との接触、そして、ワーファリンの用量評価を12週毎の実施と4週毎の実施で比較する必要がある。

【考察とディスカッション】

現時点では積極的にPT-INR検査を12週毎に延長して実施する積極的な根拠にはなりにくいかもしれない。

【開催日】

2011年12月21日

急性単純性虫垂炎に対して抗生剤と虫垂切除術のどちらが有効か?

【文献名】
Vons C,et al. Amoxicillin plus clavulanic acid versus appendicectomy for treatment of acute uncomplicated appendicitis an open-label, non-inferiority, randomised controlled trial. Lancet. 2011 May 7;377(9777):1573-9.

【要約】
<BACKGROUND>
Researchers have suggested that antibiotics could cure acute appendicitis. We assessed the efficacy of amoxicillin plus clavulanic acid by comparison with emergency appendicectomy for treatment of patients with uncomplicated acute appendicitis.

<METHODS>
In this open-label, non-inferiority, randomised trial, adult patients (aged 18-68 years) with uncomplicated acute appendicitis, as assessed by CT scan, were enrolled at six university hospitals in France. A computer-generated randomisation sequence was used to allocate patients randomly in a 1:1 ratio to receive amoxicillin plus clavulanic acid (3 g per day) for 8-15 days or emergency appendicectomy. The primary endpoint was occurrence of postintervention peritonitis within 30 days of treatment initiation. Non-inferiority was shown if the upper limit of the two-sided 95% CI for the difference in rates was lower than 10 percentage points. Both intention-to-treat and per-protocol analyses were done. This trial is registered with ClinicalTrials.gov, number NCT00135603.

<FINDINGS>
Of 243 patients randomised, 123 were allocated to the antibiotic group and 120 to the appendicectomy group. Four were excluded from analysis because of early dropout before receiving the intervention, leaving 239 (antibiotic group, 120; appendicectomy group, 119) patients for intention-to-treat analysis. 30-day postintervention peritonitis was significantly more frequent in the antibiotic group (8%, n=9) than in the appendicectomy group (2%, n=2; treatment difference 5•8; 95% CI 0•3-12•1). In the appendicectomy group, despite CT-scan assessment, 21 (18%) of 119 patients were unexpectedly identified at surgery to have complicated appendicitis with peritonitis. In the antibiotic group, 14 (12% [7•1-18•6]) of 120 underwent an appendicectomy during the first 30 days and 30 (29% [21•4-38•9]) of 102 underwent appendicectomy between 1 month and 1 year, 26 of whom had acute appendicitis (recurrence rate 26%; 18•0-34•7).

<INTERPRETATION>
Amoxicillin plus clavulanic acid was not non-inferior to emergency appendicectomy for treatment of acute appendicitis. Identification of predictive markers on CT scans might enable improved targeting of antibiotic treatment.

【開催日】
2011年11月26日

便潜血陽性の高齢者の長期予後

【文献名】
Christine E. Kistler, Katharine A. Kirby, et al. Long-term Outcome Following Positive Fecal Occult Blood Test Results in Older Adults. Arch Intern Med. 2011;171(15):1344-1351.

【要約】
<Background>
In the United States, older adults have low rates (fewer than 60%) of follow-up colonoscopy after a positive fecal occult blood test (FOBT) result. The long-term outcomes of these real world practices and their associated benefits and burdens are unknown.

<Goal>
To inform how clinical practice could improve to maximize the net benefit of FOBT screening and follow-up in older adults.

<Methods>
Longitudinal cohort study of 212 patients 70 years or older with a positive FOBT result at 4 Veteran 
Affairs (VA) facilities in 2001 and followed up through 2008. We determined the frequency of downstream outcomes duringthe7years of follow-up, including procedures, colonoscopic findings, outcomes of treatment, complications, and mortality based on chart review and national VA and Medicare data. 
Net burden or benefit from screening and follow-up was determined according to each patient’s life expectancy. Life expectancy was classified into 3 categories: Best (age, 70-79 years and Charlson-Deyo comorbidity index [CCI], 0), average, and worst (age, 70-84 years and CCI, >=4 or age, >=85 years and CCI, >=1).

<Results>
56 % of patients received follow-up colonoscopy (118 of 212), which found 34 significant adenomas and 6 cancers. 10% experienced complications from colonoscopy or cancer treatment (12 of 118). 46 % of those without follow-up colonoscopy died of other causes within 5 years of FOBT (43 of 94), while 3% (3 of 94) died of colorectal cancer within 5 years (Figure1). 87% of patients with worst life expectancy experienced a net burden from screening (26 of30) as did 70% with average life expectancy (92 of 131) and 65% with best life expectancy (35 of 51) (P=.048 for trend) (Figure2).

<Conclusions>
Over a 7-year period, older adults with best life expectancy were less likely to experience a net burden from current screening and follow-up practices than are those with worst life expectancy. The net burden could be decreased by better targeting FOBT screening and follow-up to healthy older adults.
Figure1

111121_1

Figure2

111121_2

※Charlson-Deyo comorbidity index (Wikipedia)
The Charlson co-morbidity index predicts the ten-year mortality for a patient who may have a range of co-morbid conditions such as heart disease, AIDS, or cancer (a total of 22 conditions). Each condition is assigned with a score of 1,2,3 or 6 depending on the risk of dying associated with this condition. Then the scores are summed up and given a total score which predicts mortality.
The clinical conditions and scores are as follow: 1 each: Myocardial infarct, congestive heart failure, peripheral vascular disease, dementia, cerebrovascular disease, chronic lung disease, connective tissue disease, ulcer, chronic liver disease. 2 each: Hemiplegia, moderate or severe kidney disease, diabetes, diabetes with complication, tumor, leukemia, lymphoma. 3 each: Moderate or severe liver disease. 6 each: Malignant tumor, metastasis, AIDS.
For a physician, it is helpful in knowing how aggressively to treat a condition. For example, a patient may have cancer, but also heart disease and diabetes so severe that the costs and risks of the treatment outweigh the short term benefit from treatment of the cancer.
Since patients often do not know how severe their conditions are, originally to calculate the index nurses were supposed to go through the patient’s chart and determine whether the patient had a particular condition. Subsequent studies have adapted it to a questionnaire for patients.
The original citation follows: Charlson ME, Pompei P, Ales KL, MacKenzie CR (1987). A new method of classifying prognostic comorbidity in longitudinal studies: development and validation. J Chron Dis, 40(5): 373-383.

【開催日】
2011年10月12日

Do you want to know the natural history of headache?

【文献名】

Magnitude, impact, and stability of primary headache subtypes: 30 year prospective Swiss cohort study.
Merikangas KR, Cui L, Richardson AK, Isler H, Khoromi S, Nakamura E, Lamers F, Rossler W, Ajdacic-Gross V, Gamma A, Angst J.
BMJ. 2011 Aug 25;343:d5076. doi: 10.1136/bmj.d5076.



【要約】

<Objective>

To determine the prevalence, impact, and stability of different subtypes of headache in a 30 year prospective follow-up study of a general population sample.



<Design>

Prospective cohort study.



<Setting>
Canton of Zurich, Switzerland.



<Participants> 
591 people aged 19-20 from a cohort of 4547 residents of Zurich, Switzerland, interviewed seven times across 30 years of follow-up.



<Main outcome measures>

Prevalence of headache; stability of the predominant subtype of headache over time; and age of onset, severity, impact, family history, use of healthcare services, and drugs for headache subtypes.



<Results>

The average one year prevalences of subtypes of headache were 0.9% (female:male ratio of 2.8) for migraine with aura, 10.9% (female:male ratio of 2.2) for migraine without aura, and 11.5% (female:male ratio of 1.2) for tension-type headache. Cumulative 30 year prevalences of headache subtypes were 3.0% for migraine with aura, 36.0% for migraine without aura, and 29.3% for tension-type headache. Despite the high prevalence of migraine without aura, most cases were transient and only about 20% continued to have migraine for more than half of the follow-up period. 69% of participants with migraine and 58% of those with tension-type headache manifested the same predominant subtype over time. However, the prospective stability of the predominant headache subtypes was quite low, with substantial crossover among the subtypes and no specific ordinal pattern of progression. A gradient of severity of clinical correlates and service use was present across headache subtypes; the greatest effect was for migraine with aura followed by migraine without aura, and then tension-type headache and unclassified headaches.



<Conclusions>

These findings highlight the importance of prospective follow-up of people with headache. The substantial longitudinal overlap among subtypes of headache shows the developmental heterogeneity of headache syndromes. Studies of the causes of headache that apply diagnostic nomenclature based on distinctions between discrete headache subtypes may not capture the true nature of headache in the general population.



【開催日】

2011年10月5日

慢性閉塞性肺疾患の増悪予防に用いるアジスロマイシン

【文献名】

R.K. Albert , et al. Azithromycin for Prevention of Exacerbations of COPD. The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDISINE. 2011;8.25: 689-698.



【要約】

<背景>

COPD急性増悪により、診療所や救急外来を頻繁に受診し、頻回の入院による失業や治療コストがかかる。また、急性増悪を引き起こす患者は引き起こさない患者と比較すると、突然死のリスクや早期の呼吸機能の低下、QOLの低下が認められる。マクロライド系抗菌薬がCOPD急性増悪を減らすという研究と減らさないという研究があるために(限界のある研究が多かったため)、この治療の有用性について研究を行うこととした。

<方法>

増悪リスクは高いが、聴覚障害・安静時頻脈は認めず,補正 QT 間隔延長の明確なリスクを有しない COPD 患者を対象にアジスロマイシンによって増悪の頻度が低下するかどうかを検討することを目的として無作為化試験を行った。



<結果>

1,577 例をスクリーニングし、その中で 1,142 例(72%)を1 年にわたり標準の治療とアジスロマイシン 250 mg/日を投与する群(570 例)とプラセボを投与する群(572 例)に無作為に割り付けた。1 年間の追跡を完了した患者の割合はアジスロマイシン群 89%,プラセボ群 90%であった。初回増悪までの期間の中央値は、アジスロマイシン群で 266 日(95%信頼区間 [CI] 227~313)に対し、プラセボ群では 174 日(95% CI 143~215)だった(P<0.001)。増悪の頻度は,アジスロマイシン群で患者・年あたり 1.48 回であったのに対し、プラセボ群では患者・年あたり 1.83 回であり(P=0.01)アジスロマイシン群における患者・年あたりの COPD 急性増悪発生のハザード比は 0.73(95% CI 0.63~0.84)であった(P<0.001)。St. George 呼吸器質問票(0~100 で,スコアが低いほど機能が良好であることを示す)のスコア改善はアジスロマイシン群のほうがプラセボ群よりも大きく(低下の平均 [±SD] 2.8±12.8 対 0.6±11.4,P=0.004),最小有意差である 4 単位以上の低下がみられた患者の割合は、アジスロマイシン群で 43%であったのに対し、プラセボ群では 36%であった(P=0.03)。聴力低下はアジスロマイシン群でプラセボ群よりも多く認められた(25% 対 20%,P=0.04)。また、気道におけるマクロライド耐性菌は優位に上昇(81%対41%)したが、肺炎発症には関与しなかった。



<結論>

特定の COPD 患者では,標準治療に加えてアジスロマイシンを 1 年間連日服用することで,増悪の頻度が低下し QOL が改善したが、ごく一部の患者で聴力低下が生じた。この介入によって微生物の薬剤耐性パターンが変化する可能性があるが、それによる影響は不明である。



【考察とディスカッション】

アジスロマイシンの1年間連日投与で急性増悪の頻度が低下してQOLは改善することがわかったが、ジスロマック250mg錠=304円なので、1年間連日投与だと、約11万円。この患者の経済状況など考えると現実的な治療とは言えない。まずは吸入などの標準治療のコンプライアンスの上昇を目指すことが1番重要である。
健康保険のカバーしていない利用法であること、入院・死亡などについてのアウトカムは有意差が出ていないことなど、問題は多いだろう。



【開催日】

2011年10月5日

~プレホスピタルで高流量酸素のCOPD患者の死亡率への影響~

【文献】
Effect of high flow oxygen on mortality in chronic obstructive pulmonary disease patients in prehospital setting: randomised controlled trial; BMJ 2010;341:c5462

【要約】
《目的》
COPDの急性増悪の際に、プレホスピタルで標準的な高流量酸素療法(A)と徐々に酸素を増やす治療(B)とを比較した。
《方法》
クラスターランダム化比較試験。研究期間中にRoyal Hobart Hospitalに入院したCOPD急性増悪の患者で、救急救命士の治療を受けていた405名を対象とした。
(A)は酸素マスクで8-10L/分投与
(B)は経鼻カニュラでSpO2が88-92%となるように投与
《結果》
 患者数   (A)226名 (B)179名
 COPD患者数(A)117名 (B)97名
 全死亡率  (A)9%(21名) (B)4%(7名)
 COPD患者の死亡率(A)9%(11名) (B)2%(2名)
 全患者    Relative risk 0.42 (95%信頼区間 0.20-0.89; P=0.02)
 COPD患者  Relative risk 0.22 (95%信頼区間 0.05-0.91; P=0.04)
《結論》
この結果から、プレホスピタルではCOPDの急性増悪患者や息切れの患者には(B)の酸素投与法をルーチンで行うことを推奨する。

【開催日】
2010年11月10日(水)