寿都のお祭り
寿都診療所の今江です。
今年4月から後期研修1年目として寿都に赴任しました。
今までは札幌という都会でずっと研修を積んできましたが、こうやって地域に来ることで初めて感じることがたくさんあり、本当に貴重な経験をさせていただいています。
そんな寿都に来る研修医には避けて通れない道があります。毎年7月に盛大に行われる寿都最大のイベント「寿都神社例大祭」です。
お祭りは宵夜(よみや)という前夜祭に始まり、翌日から丸2日間かけて御神輿と神社の行列を中心に、子ども奴やヤッサ、各町内会の山車が夜遅くまで町内を練り歩きます。町中に色とりどりの提灯が掲げられ、子どもからお年寄りまで町民ほとんどがお祭りに参加し、普段からは想像できないような活気に溢れます。
そして毎年診療所の医師は裃を着て神社の行列に入れていただき、各家々を宮司さんとともに一軒一軒おじゃまし、豪勢な海の幸やお酒を振る舞われます。みんな診療所の患者さんだったり、そうでなくても何らかの繋がりがある人ばかりで、ちょっとした訪問診療みたいな感じです。まさに普段の生活をありのまま垣間見ることができます。
なかでも、自分の来るずっと前に診療所でお看取りした方の仏壇の前で所長と一緒に手を合わせたり、診療所の患者さんである老夫婦が二人暮らしで経済的にも厳しい中、地元の有力者の家のように豪勢な振る舞いはできず皆が立ち寄るわけでもないけれど、この日のために頑張って用意してくれたなけなしのおもてなしをありがとうと言って頂いたりしたことが心に残りました。
また、今年初の試みとして、診療所・地元の開業医の先生・訪看・ケアマネさん達みんなで協力して医療救護班のボランティアを立ち上げ、診療所の車を出して隊列に加えていただきました。幸い大きな事故はありませんでしたが、途中酔いつぶれた自分を結構長時間運んでいただき、かなり気まずい感じでした…(汗)
最後は神社に戻り、御神輿の中の神様を再び神社に御迎えし、宮司さんの本物の日本刀を使った剣の舞(神楽)が披露されます。まだ昼間の酒が抜け切らずフラフラになりながら、お囃子の音と神聖な空気に包まれ、「あぁそっか、自分は寿都という町に住んでいるんだ」と、そこで初めて実感したのでした。
地域に住んで、色んな人と関わりながら、医者としてだけでなく一住民として毎日をそこで過ごし、でもたまには家庭医としての自分の役割も考えたりなんかして、楽しいことも大変なことも、なんやかんやありながらも、そこにいること、続けること。が、地域で医者として働くっていうことなのかなーと、今は何となく感じています。