平成23年度 第2回 On-site FaMReF(上川) 報告

事務局中田です。

8月20日、21日に今年度2回目のFaMReFが上川医療センターで行われました。
チーフレジデントより詳細な報告がありましたので、以下で紹介させて頂きます。

参加者
スタッフ:草場先生、八藤先生、安藤先生
フェロー:宮地先生
レジデント:木田、村井、堀、田中、中島、野口
外部:初期研修医1名

1. 家庭医療的振り返り① 木田先生 担当

・膵尾部癌で大動脈や神経浸潤のある方、デュロテップパッチ40mg以上使用しても疼痛コントロールができないと緩和ケア病棟へ紹介された。デュロテップパッチを減量し、オキシコンチンを併用、さらに神経痛に対してキシロカイン点滴を行なったところ一晩で疼痛改善し、車椅子に乗ることができた。→キシロカインテスト2%キシロカイン2.5㏄(50㎎)をNS20で溶かしIVする。効果があるひとは数分で鎮痛効果を得る事ができる

・肺がん健診のレントゲンスクリーニングの意味
 一般的でには肺がん検診で予後は変わらないと言われている。この研究はバイアスがかかっている可能性があり、最近の日本の研究では予後が変わっているという評価が出ている。二人以上のDrで確認するとよい。The japan Lung society 2001,10 41巻6号

2.家庭医療的振り返り② 中島先生 担当

・地域・コミュニティケアの一環として、潜在的なニーズを掘り起こし、アプローチする。
訪問患者の家に連絡ノートが置いてあった。それぞれ職種がノートを使って情報共有していた。導入されていない患者さんに導入しようとしている。独居の方の転倒や近況などの情報がかいてあるので普段の状態が分かる。訪問看護師さんと連携をとりつつ勧めていく予定

・宮地先生の課題

抵抗にあったときにどうするか?子供が喘息で来て母親が喫煙者、禁煙を指導して帰宅となった。

抵抗にあったときは抵抗の理由を探る必要がある。言語的(喫煙に対してどのように感じているのか?)にも非言語的(患者の態度や言葉尻、表情)にも患者をよく理解しようとすることが重要。

3.家庭医療レクチャー 「EBM」八藤先生 担当

 限られた診療時間でEBMをどのように使うのかについてより実践的なレクチャーがありました。

①調べる環境を準備しておく、グーグルクロムなどでタグの固定を利用することで調べるツールのアクセス時間が短縮できる。
②調べることを分類して検索ツールを使い分ける。
③実際検索ツールとしてどんなものがあるか教えてもらいました。

4.症例からの学び 村井 担当

 不確実性についての学びでした。てんかんの既往があり最近内服を変更した24歳女性の発熱、皮疹の症例。ウイルス性疾患とDIHSの可能性で迷い、やや敗血症の可能性もあるが診断が確定できない事例に対してどのようにアプローチしていくかについてdiscussionがありました。

患者と不確実性を共有し慎重にフォローすることの重要性について学びがありました。

5.Show case PF  田中先生 担当

 プロフェッショナリズムに対する学びでした。輸血拒否の高齢女性、大腿骨頸部骨折術後感染をおこし、人工骨頭抜去しなければいけないが輸血拒否のため行わず、在宅でドレナージをしながら見ていた女性が発熱し敗血症が疑わしい状況になった。入院を拒否しているこの女性に対しどのようにアプローチすればよいのか、臨床倫理4分割の視点から学びがありました。

6.ビデオレビュー  野口先生 担当

ロールプレイのビデオレビューで高齢認知症患者の食欲低下、普段あまり見ていない甥と一緒に受診という難易度の高い設定でした。亜急性での経過を示す高齢者の食欲低下に対する鑑別が思い浮かばず、さらにwalk inを定期受診と勘違いしていたという状況のなかで、非言語コミュニケーションやプランの交渉に関して上手く対応できており全体としては比較的まとまった外来でした。

今回はOnLineの課題をOnSiteで発表するという試みが初めて行われました。個人的には外来で課題を意識する事になり自らの外来がよりブラッシュアップされるなあと実感しました。

 
第3回FaMReFもより深い学びが得られる場にするよう頑張りたいと思います。今後もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。

また、レジデントに代わり休日待機を引き受けていただいた先生方、この場を借りて
お礼申し上げます。

チーフレジデント

村井 紀太郎/堀 哲也